3次関数のグラフには以下のような特徴がある.

特徴1.グラフは点対称

 3次関数$f(x)\!=\!ax^3\!+\!bx^2\!+\!cx\!+\!d$ について,$y\!=\!f(x)$のグラフを $x$軸方向に $\dfrac b{3a}$,$y$ 軸方向に $-f\left(-\dfrac b{3a}\right)$ だけ平行移動したグラフの方程式は

\[\begin{align*} y\!+\!f\left(\!-\frac b{3a}\!\right)\!=\!a\left(\!x\!-\!\frac b{3a}\!\right)^{\!3}\!+\!b\left(\!x\!-\!\frac b{3a}\!\right)^{\!2}\!+\!c&\left(\!x\!-\!\frac b{3a}\!\right)\!+\!d\\[5pt] &\hspace{10mm}\cdots\mbox{①} \end{align*}\]

である.ここで,

\[\begin{align*} f\left(-\frac b{3a}\right)&=a\left(-\frac b{3a}\right)^3\!+\!b\left(-\frac b{3a}\right)^2\!+\!c\left(-\frac b{3a}\right)\!+\!d\\[5pt] &=-\frac{b^3}{27a^2}+\frac{b^3}{9a^2}-\frac{bc}{3a}+d\\[5pt] a\left(x\!-\!\frac b{3a}\right)^3&=a\left(x^3-\frac{b}ax^2+\frac {b^2}{3a^2}x-\frac{b^3}{27a^3}\right)\\[5pt] &=ax^3-bx^2+\frac{b^2}{3a}x-\frac{b^3}{27a^2}\\[5pt] b\left(x\!-\!\frac b{3a}\right)^2&=b\left(x^2-\frac{2b}{3a}x+\frac{b^2}{9a^2}\right)\\[5pt] &=bx^2-\frac{2b^2}{3a}x+\frac{b^3}{9a^2}\\[5pt] c\left(x\!-\!\frac b{3a}\right)&=cx-\frac{bc}{3a} \end{align*}\]

となるから①式は,

\[y=ax^3+\left(c-\frac{b^2}{3a}\right)x\]

となる.この右辺を $g(x)$ とおくと

\[g(-x)=-g(x)\]

が成り立つから $g(x)$ は奇関数である.奇関数のグラフは原点に関して対称である.従って一般に3次関数のグラフについて次が成り立つ:

3次関数のグラフは点対称な図形である.

 対称の中心は,グラフの凸性が変化する点で,この点を変曲点という.詳しくは数学Ⅲ 11.関数のグラフ を参照.

特徴2.グラフの箱詰め

 一般にグラフを平行移動しただけではそのグラフの形は変化しない.特徴1. で見たように,どんな3次関数のグラフも変曲点に関して対称であり,変曲点が原点にくるように平行移動すると,そのグラフをもつ関数は奇関数であるから,今後グラフの特徴を考察するに当たっては $y=ax^3+bx$ という形の3次関数を考えるので十分であろう.

 さて,$f(x)=ax^3+bx$ とおき,$f(x)$ が $x=\alpha$ で極値 $f(\alpha)$をとるとする.$f(\alpha)=k$ とすると,$f(x)=k$ となる $x$ は,$\alpha$ 以外にもう1つ存在する.それを $p$ とする:

3次の係数が正の場合

 $p$ は3次方程式 $ax^3+bx=k$,即ち

\[ax^3+bx-k=0\]

の解である.$\alpha$ がこの方程式の重解であることに注意をすれば,3次方程式の解と係数の関係により

\[\alpha+\alpha+p=0\]

\[\therefore p=-2\alpha\]

 3次関数のグラフの対称性により,$f(-\alpha)=-k$ となる $-\alpha$ 以外の $x$ の値は $2\alpha$ である.従ってグラフは次のようになる:

 このように3次関数のグラフは箱詰めして考えると捉えやすい.

 3次関数の最大・最小を考える際,しばしば極大値や極小値と同じ値をとる別の$x$ の値が必要となるが,そのときにこの事実は絶大な効果を発揮する.