2.文字式の計算:中学1年数学―オリジナル基礎教科書
中学数学[総目次]
中学1年数学 2章 文字と式
| 級 | 検定 | 教科書 |
|---|---|---|
| 3級:文字式の基礎と表現ルール | ||
| 2級:文字式の基本的な計算ルール | ||
| 1級:関係を表す式と等式・不等式の基礎 |

1. 1次式の加法,減法
項と係数
項とは
1章 加法の計算法則 のところで,$(+2)+(-3)$ のような式における $+2$ や $-3$ を項(こう)といいましたが,文字式においても同じように,加法の記号+で結ばれた1つ1つを項といいます。
例
$2x-3y+4=2x+(-3y)+4$
→ この式には $2x$,$-3y$,$4$ の3つの項がある
係数とは
文字を含む項の数の部分を係数(けいすう)といいます。
例
$2x-3y+4$
→ 文字を含む項は,$2x,\ -3y$
$2x$ の係数は $2$,$-3y$ の係数は $-3$
項の次数
1つの項で,掛け合わされている文字の個数を次数(じすう)といいます。
例
$2x$ → 次数1
$-3y$ → 次数1
$4xy$ → 次数2
$5x^2$ → 次数2
補足
$2$ や $-3$ といった文字がない項の次数は0です。
式の次数
$2x+3$ という式は,$2x,\ 3$ という2つの項があり,次数はそれぞれ1と0です。このとき,$2x+3$ の「式の次数」は,大きい方の1となります。式の次数が1である式を1次式といいます。
1次式の例
$2x$
$3x-4$
$5x+6y$
$-7x+8y-9$
一般に式の次数は,その式に含まれる項の中で最も大きいものとなります。
例
| 式 | 式の次数 |
|---|---|
| $-2$ | 0 (0次式) |
| $3x$ | 1 (1次式) |
| $4x-1$ | 1 (1次式) |
| $x^2+2x-3$ | 2 (2次式) |
| $5x^2+6$ | 2 (2次式) |
1次式の加法,減法
文字が含まれる式の加法,減法では,文字の部分が同じ項をまとめることができます。例えば $2x+3x$ は次のように考えます。
$2x=x+x$
$3x=x+x+x$
よって,
$2x+3x=(x+x)+(x+x+x)$ ← ($x$ が5個)
$=5\times x$
$=5x$
これを今後
$2x+3x=(2+3)x=5x$
というように計算しましょう。
例1 $2x-3x$
計算結果
$2x-3x=(2-3)x=-1x=-x$
例2 $5a-3b+2a+b$
計算結果
$5a-3b+2a+b$
$=5a+2a-3b+b$ (項を並べかえる)
$=(5+2)a+(-3+1)b$ (まとめる)
$=7a-2b$
カッコがある1次式の加法
例題 Aさんの兄はAさんより2歳年上で,Aさんの妹はAさんより5歳年下です。Aさんの年齢が $a$ 歳のとき,兄と妹の年齢の合計は何歳ですか。
答え
Aさんの兄の年齢は $a+2$ (歳)
Aさんの妹の年齢は $a-5$ (歳)
よって兄と妹の年齢の合計は
$(a+2)+(a-5)=a+a+2-5=2a-3$ (歳)
※兄,妹の年齢にカッコを付けて,カタマリがわかるようにします
答えは $2a-3$ (歳)
一般に次が成り立ちます。
カッコ付きの式の加法
\[a+(b+c)=a+b+c\]
\[a+(b-c)=a+b-c\]
カッコの前が+のときは,カッコはないも同然です。
カッコがある1次式の減法
例題 500円を出して,1本 $x$ 円の鉛筆2本と,1個 $y$ 円の消しゴムを買うとき,おつりはいくらですか。
答え
考え方①(代金をまとめる方法)
代金の合計は $x\times2+y$ (円)
よっておつりは $\underline{\boldsymbol{500-(2x+y)}}$ (円)
※代金にカッコを付けて引きます。
考え方②(順番に買う方法)
鉛筆2本を買うと,残金は $500-2x$ (円)
さらに消しゴムを買うと $\underline{\boldsymbol{500-2x-y}}$ (円)
よっておつりは $500-2x-y$ (円)
どちらで考えてもおつりは同じですから
\[500-(2x+y)=500-2x-y\]
が成り立ちます。こうして「カッコを外すときに符号が変わる」というルールが見えてきます。
一般に次が成り立ちます。
カッコ付きの式の減法
\[a-(b+c)=a-b-c\]
\[a-(b-c)=a-b+c\]
覚え方
カッコをはずすときは,引く式の各項の符号を変える!
いくつか例を見ておきましょう。
例1 $2x-(5x+2)$
計算結果
\[\begin{align*} 2x-(5x+2)&=2x-5x-2\\[5pt] &=-3x-2 \end{align*}\]
例2 $4x-(-3x-5)$
計算結果
\[\begin{align*} 4x-(-3x-5)&=4x+3x+5\\[5pt] &=7x+5 \end{align*}\]

2. 1次式と数の乗法,除法
いくつかの例題を通じて,いろいろな式の乗法と除法を理解しましょう。
例1 $3x\times4$
計算結果
\[\begin{align*} 3x\times4&=3\times x\times4\\[5pt] &=3\times4\times x\\[5pt] &=12x \end{align*}\]
例2 $-2(3a-b)$
計算結果
分配法則により, \[\begin{align*} -2(3a-b)&=(-2)\times 3a+(-2)\times(-b)\\[5pt] &=-6a+2b \end{align*}\]
例3 $\dfrac{2x-1}3\times6$
計算結果
\[\begin{align*} \dfrac{2x-1}3\times6&=\dfrac{(2x-1)\times{^2\cancel{6}}}{\cancel{3}_1}\\[5pt] &=(2x-1)\times2\\[5pt] &=4x-2 \end{align*}\]
例4 $12x\div4$
計算結果
\[\begin{align*} 12x\div4&=\dfrac{12x}4\\[5pt] &=\dfrac{{^3\cancel{12}}\times x}{\cancel{4}_1}\\[5pt] &=3x \end{align*}\]
例5 $(15x-6y)\div9$
計算結果
\[\begin{align*}
(15x-6y)\div9&=(15x-6y)\times\dfrac19\\[5pt]
&=15x\times\dfrac19-6y\times\dfrac19\\[5pt]
&=\dfrac{\overset{\color{red}5}{\bcancel{15}}x}{\underset{\color{red}3}{\bcancel{9}}}-\dfrac{\overset{\color{red}2}{\bcancel{6}}y}{\underset{\color{red}3}{\bcancel{9}}}\\[5pt]
&=\dfrac{5x}3-\dfrac23\\[5pt]
&=\dfrac{5x-2}3
\end{align*}\]
補足1 $\dfrac53x-\dfrac23$ を答えとしても大丈夫です。
補足2 慣れてきたら,次のように計算することが多いです。
\[\begin{align*}
(15x-6y)\div9&=\dfrac{\overset{\color{red}5}{\bcancel{15}}x-\overset{\color{red}2}{\bcancel{6}}y}{\underset{\color{red}3}{\bcancel{9}}}\\[5pt]
&=\dfrac{5x-2}3
\end{align*}\]
**注意しよう**
チャレンジ1
$\dfrac{2x}2$ を簡単にすると,どうなりますか?
計算結果
答えは $x$ です。
説明ができますか?
\[\dfrac{\overset{\color{red}1}{\bcancel{2}}x}{\underset{\color{red}1}{\bcancel{2}}}=\dfrac x1=x\]
チャレンジ2
$\dfrac{2x+2}2$ を簡単にすると,次のうちどっち?
① $x$ ② $x+1$
正解を見る
答えは,②の $x+1$ です。
説明ができますか?
\[\begin{align*}
\dfrac{2x+2}2&=\dfrac{\overset{\color{red}1}{\bcancel{2}}x+\overset{\color{red}1}{\bcancel{2}}}{\underset{\color{red}1}{\bcancel{2}}}\\[5pt]
&=\dfrac{x+1}1\\[5pt]
&=x+1
\end{align*}\]
** ①の $x$ を選んだ人 **
「約分」=「数字が消えること」と思っていませんか?
その考え方は正しくありません!
上のやり方のように,斜め線の近くに,小さな数字を書くクセをつけましょう。
\[\dfrac{\bcancel{2}x+\bcancel{2}}{\bcancel{2}}=\dfrac{
\hspace{6mm}x+\hspace{6mm}}{}=x\]
こんなイメージは間違いです!

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