公務員試験のための数学ワークブック
公務員試験の一般知能分野、教員採用試験等の一般教養分野の数学に限定して説明しています。より本格的に復習されたい方は、本編の 高校数学 をご覧ください。

vol.5 指数法則と余り
例えば
今回は,そのようなとても筆算によって余りを求められそうにないものについて,今までとは少し違うユニークな方法で求めていくことなどを学ぶことにしましょう.
1. まずは下ごしらえ~指数法則
今回学習していく上で必要となる指数法則について簡単に復習しておきましょう.
一般知能で知っておくと役に立つ指数法則は,以下の3つです.
指数法則
こういう指数の関係式は忘れてしまっても,必要になったときにその場で簡単な計算で確認すれば思い出せます.例えば1番目の式は,
を考えてみて,
という具合に確かめるわけです.2番目の式も同じように考えることができます.例えば,
を考えてみて,
と公式を確認できます.
演習問題1 次の値を

2. 余りの性質
ごく基本的な余りの性質をまず述べておきます.それは
余りは,割る数より小さい
ということです.例えば,
をみてみますと,余りの1は割る数の2より小さくなっています.「
としては誤りです.

3. 「 を3で割った余り」がすぐわかる?~指数を含む割り算の余り
さて,ここで冒頭で述べた
3.1 重要な考え方
まず,おさえておきたい重要な考え方を述べておきます.
例題 14個のおはじきから3個ずつとると何個余るか求めなさい.
こたえ
例えば今,2つ分は取ったとしましょう.
○○○|○○○ ○○○○○○○○
このとき,私たちが考えなければならないのは,
残った8個から,3個のセットが何個取れて何個余るのか
ということです.3個のセットとして取れることがわかった最初の6個はもはや考えなくてよいことになります.これを式で説明すると,
となった場合,3の倍数を除いた8のみを考えればよいわけです.故に,
(14を3で割った余り)
となることがわかります.この
と解釈してもよさそうです.8が余りに相当していますが,8は割る数3より大きいですから,Section2でみてきたように,
ここまでをまとめておきましょう.
3.2 簡単な例
いきなり
例題 次の値を3で割った余りを求めなさい.
こたえ
(1)
となり、求める余りは1です.
さて,先程述べました重要な考え方によって,この問題をもう一度検討してみます.上の結果から,
と書けます.この式の右辺で
となり,求める余りは1であることがわかります.
(2)
ですから,
です.ここで,この式を乗法公式である
となります.下線部の
となり,求める余りは1です.
(3)
ですから,
です.ここで,この式をちょっと難しい乗法公式
を用いて展開すると,
となります.下線部の
となり,求める余りは1です.
このあたりまでくると薄々気が付かれた方もいらっしゃるでしょうが,実は,
演習問題2 次の計算の余りを,このSectionでの考え方に基づいて求めなさい.

4. パスカルの三角形
ここでは
となっていきます.これらは例えば,
を1つ1つコツコツと計算しなくても書く方法があります.実は,係数にヒントがあります.
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1
1 6 15 20 15 6 1
となっています.とてもきれいな形をしていますね.これをパスカルの三角形といいます.これらの数字の書き方の規則は至って簡単で,
- 端は全て1とする.
- それ以外の数は,すぐ上にある左右の2数の和とする.
です.例えば,
次に文字についてみてみましょう.例えば,
となっています.どんな規則性でしょう?
となります.もうお分かりですね.
ここで注目して頂きたいところは,
という変形が可能だというわけです.
この考えを用いて
の形にしておかなければなりません.この場合,
が最適です.すると,
従って,これまで学習してきたことにより,
となります.この余りは,
を3で割っても余りは1であることがわかります.
以上により
となります.

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公務員試験のための数学ワークブック
- vol.1 分数の計算
- vol.2 連立方程式・不等式
- vol.3 乗法公式・因数分解と2次方程式
- vol.4 有理数・無理数
- vol.5 指数法則と余り
- vol.6 記数法
- vol.7 数列・漸化式