3.円:中学1年数学ーオリジナル基礎教科書

中学数学[総目次]

中学1年数学 5章 平面図形

検定 教科書
3級:平面図形の基礎と3つの移動
2級:垂直二等分線・角の二等分線など6つの基本技法
1級:円の基本:弧・弦・接線の意味と公式

1. 弧・弦・中心角

 小学校のときから,円についてはいろいろなことを学習済みです。ここにある内容は,ほぼ復習です。

 円周上に2点A,Bをとります。

  • 円周のAからBまでの部分をABといい,$\overset{\frown}{\rm AB}$ で表します。
弧AB

補足

※弧ABは,教科書では次のように,ABを覆うように線が引かれています。

 画面上でこのような表現をとるのが難しいため,本稿では $\overset{\frown}{\rm AB}$ と少し短めの線で表します。

  • $\overset{\frown}{\rm AB}$ の両端を結んだ線分を,ABといいます。
    こちらは特に記号はありません。
弦AB

 円の中心Oと,円周上の2点A,Bを結んでできる∠AOBを,「$\overset{\frown}{\rm AB}$ に対する中心角」といいます。

弧ABに対する中心角

注意

 中心角は,弧に対応させます。その理由は,中心角の大きさと弧の長さは比例関係にあるからです。詳しくは こちら

2. 円の接線

 円Oと直線 $\ell$ が1点Pだけを共有しているとき,$\ell$ は円に接する(せっする)といい,直線 $\ell$ を円Oの接線(せっせん),点Pを接点(せってん)といいます。

円と $\ell$ は点Pだけ共有する

 円と接線が「1点のみを共有している」というのが図からはわかりにくいところです。次の図のように,直線を円の中心から遠ざけていくと,交点が近づいていって,やがて1つになると考えましょう。

2つの交点が近づいて,最後に1つになる

 この接線には,次の重要な性質があります。

重要円の接線は,接点を通る半径に垂直

$\ell\perp{\rm OP}$
●なぜ垂直?

 円には対称性がありますから,円と直線が1点だけを共有しているなら,そこにできる角(図の赤と青の角)は左右対称になって,同じ角度の90°になるはずです。

赤と青の角は等しい
 ーもう少し詳しくー

 もし赤色の角が直角でないと,Oから $\ell$ に垂線OHをおろし,直角三角形OPHを作ることができます(下図)。でもそのときは,円の中に点Hができてしまって,直線が円と2か所PとQで交わることになってしまいます。それでは「1点だけ共有する」というルールに合いません。

3. 円の面積と周の長さ

 小学校では円周率を3.14として計算しましたが,本当は

3.1415926535 …

と延々と続く数なのです。そこで中学校以降では,この数をギリシャ文字の $\pi$ (パイ)で表します。

円周率 $\pi$

$\pi=$ 3.1415926535 …

 円の半径を $r$ とします。

(円の面積) $=r\times r\times\pi=\pi\, r^2$

 また,円の直径は $r\times2=2r$ ですから,

(円の周の長さ) $=2\,r\times\pi=2\,\pi\, r$

※「$\pi$」を書く位置は,文字より先,数よりあとが原則です。

例題 半径4cmの円について,面積と,周の長さを求めなさい。

こたえ

円の面積と周の長さの公式から

(面積) $=\pi\times4^2=16\pi\ (\rm cm^2)$

(周の長さ) $=2\pi\times4=8\pi\ (\rm cm)$

答えは 面積:$16\pi\ \rm cm^2$,周の長さ:$8\pi\ \rm cm$

補足

 小学校では3.14をかける計算が大変でしたが,中学校以降では「$\pi$」と書くだけでよく,わずらわしい計算から解放されました!
 むしろ3.14をかけ算すると減点されるかもしれません。3.14はあくまで近似値だからです。

 扇形の面積や周の長さも,小学校で学習しています。文字式で表しておきましょう。

半径 $r$,中心角 $a^\circ$ の扇形について

(弧の長さ) $=2\,\pi\, r\times\dfrac a{360}$

(面積) $=\pi\, r^2\times\dfrac a{360}$

例題 半径5cm,中心角60°の扇形について,弧の長さと面積を求めなさい。

こたえ

扇形の弧の長さと面積の公式から

(弧の長さ) $=2\pi\times4\times\dfrac{60}{360}=8\pi\times\dfrac16=\dfrac43\pi\ (\rm cm)$

(面積) $=\pi\times4^2\times\dfrac{60}{360}=16\pi\times\dfrac16=\dfrac83\pi\ (\rm cm^2)$

答えは 周の長さ:$\dfrac43\pi\ \rm cm$,面積:$\dfrac83\pi\ \rm cm^2$

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中学1年数学 5章 平面図形

検定 教科書
3級:平面図形の基礎と3つの移動
2級:垂直二等分線・角の二等分線など6つの基本技法
1級:円の基本:弧・弦・接線の意味と公式