高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第4章 複素平面
スライド | ノート | 問題 | |
1. 複素平面 | |||
2. 複素数が表す図形 | |||
3. 極形式 | |||
4. ド・モアブルの定理 | |||
5. 複素数と図形 |

演習問題
問題1【発展】
xyxy 平面の放物線 y=x2y=x2 上の3点P,Q,Rが次の条件をみたしている.
△PQRは一辺の長さ aa の正三角形であり,点P,Qを通る直線の傾きは √2√2 である.
このとき,aa の値を求めよ.
(東京大)

東京大学(2004)の問題です.東大では他にも放物線上に3点をとって三角形を考えさせる問題(例えば1982年 ) があります.もともとは旧課程にあった行列を利用して解く問題でしたが,現行過程では複素平面で扱う極形式を用いて同じことができます.要するに,ある点を別の点を中心として回転移動させるという操作が必要になってくるのです.
解答

■

直線PQの傾きが √2√2 であるから,△PQRが正三角形のとき,3点P,Q,Rは図のようにとってよい(補足参照 ).Pの座標を (p, p2)(p, p2) とすると,Qの座標は (p+a√3, p2+√2√3a)(p+a√3, p2+√2√3a) と表せる.Qも放物線 y=x2y=x2 上の点であるから
p2+√2√3a=(p+a√3)2p2+√2√3a=(p+a√3)2
展開して p2+√2√3a=p2+2p⋅a√3+(a√3)2p2+√2√3a=p2+2p⋅a√3+(a√3)2
整理して √2=2p+a√3√2=2p+a√3
よって pp について解くと,
p=1√2−Ap=1√2−A …①
ただし
a2√3=Aa2√3=A
とおいた.
ここで,3点P,Q,Rを複素平面上に移して,順に3点 αα,ββ,γγ に対応させる.このとき
α=p+p2iβ=p+a√3+(p2+√2a√3)i
と考えることができる.原点を中心とする π3 の回転移動を表す複素数 12+√32i を ρ (ロー,ギリシャ文字)とおくと,点 γ は,点 β を点 α を中心として π3 だけ回転移動した点であるから
γ=(β−α)ρ+α
と表せる.この式の右辺を左から順に計算していくと,
β−α=a√3+√2a√3i=a√3(1+√2i)
(β−α)ρ=a√3(1+√2i)(12+√32i)=a2√3{1−√6+(√2+√3)i}
上で a2√3=A とおいたから,
(β−α)ρ=A{1−√6+(√2+√3)i}
と表せる.よって
γ=(β−α)ρ+α=A(1−√6)+p+{A(√2+√3)+p2}i
故に点 γ を元の xy 平面上の点Rに戻すと,Rの座標は (A(1−√6)+p, A(√2+√3)+p2)
となる.Rも放物線 y=x2 上の点であるから
A(√2+√3)+p2={A(1−√6)+p}2
右辺を展開して
A(√2+√3)+p2=A2(1−√6)2+2(1−√6)Ap+p2
整理して
√2+√3=A(1−√6)2+2(1−√6)p
両辺を 1−√6 で割って
√2+√31−√6=A(1−√6)+2p
①を代入して
√2+√31−√6=A(1−√6)+2(1√2−A)
整理して (√6+1)A=3√3√6−1
よって A=3√35
A を元に戻して a2√3=3√35
故に a=185_
補足
一般に,傾き m の直線について,x=p から x=q までの線分の長さは√1+m2|p−q|
と表されます.
証明

底辺が1,高さが |m| である直角三角形の斜辺の長さは,三平方の定理により √1+m2 である.従って x 座標の差の絶対値が |p−q| である線分の長さは √1+m2|p−q| となることがわかる.
■
Rが弧PQ上にあるとすれば,
|p−q|>|p−r|
となることに加えて,直線PQの傾きが √2 ですから,∠Pが60°のとき,
|PQの傾き|>|PRの傾き|
となって,PQ=PRとなることができません.