高校数学[総目次]
数学Ⅱ 第4章 三角関数
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3. 三角関数の性質 | [無料] | [会員] | |
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5. 三角関数の加法定理 | [会員] | [会員] | |
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7. 三角関数の合成 | [会員] | ||
8. 三角関数の応用 | [会員] |

演習問題
問題1【発展】
$xy$ 平面上の曲線 $y=x^2$ 上の3点を, $x$ 座標の小さいものから順にA,B,Cとする.AとBの $x$ 座標の差は $a$ ($a$ は正の定数),BとCとの $x$ 座標の差は1,という関係を保ちながら3点A,B,Cが動く.
∠CABが最大になるときの,点Aの $x$ 座標を $a$ で表せ.また,∠CABが最大になるときに,∠ABCが直角になるような $a$ の値を求めよ.
(東京大)

東京大学(1982)の問題です.東大では他にも放物線上に3点をとって三角形を考えさせる問題(例えば2004年 )があります.難しいですが,学習効果はそれに見合うだけのものはあります.ポイントは
ポイント
直線のなす角は $\tan$ の加法定理で考える
ということです.
解答

点Aの $x$ 座標を $t$ とすると,点B,Cの $x$ 座標はそれぞれ $t+a$, $t+a+1$ となる.直線AB,ACが $x$ 軸と正の向きとのなす角をそれぞれ $\alpha,\ \beta$ とすると,
\[\tan\alpha=2t+a,\ \tan\beta=2t+a+1\]
である.
補足 放物線 $y=x^2$ 上の任意の異なる2点 $(p,\ p^2)$,$(q,\ q^2)$ を結ぶ直線の傾きは\[\frac{q^2-p^2}{q-p}=p+q\]となります.つまり2点の $x$ 座標の和がその2点を結ぶ直線の傾きとなります.
従って
\[\begin{align*} \tan(\beta-\alpha)&=\frac{\tan\beta-\tan\alpha}{1+\tan\beta\tan\alpha}\\[5pt] &=\frac1{1+(2t+a)(2t+a+1)}\\[5pt] &=\frac1{1+A(A+1)}\\[5pt] &=\frac1{\left(A+\dfrac12\right)^2+\dfrac34} \end{align*}\]
(ただし,$2t+a=A$ とおいた.)
$\left(A+\dfrac12\right)^2+\dfrac34>0$ であるから,$\tan(\beta-\alpha)>0$.従って $\tan(\beta-\alpha)$ が最大となるとき,2直線ABとACのなす角,すなわち∠CABは最大となる.
それは $A+\dfrac12=0$ となるときで,$2t+a+\dfrac12=0$,すなわち $\underline{t=-\dfrac a2-\dfrac14}$ となるときである.
また,直線BCの傾きは $2t+2a+1$ であるから,∠ABCが直角になるとき,2直線ABとBCの傾きの積が $-1$ より
\[(2t+a)(2t+2a+1)=-1\]
\[-\dfrac12\left(a+\dfrac12\right)=-1\]
\[\therefore \underline{a=\dfrac32}\]