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高校数学[総目次]

数学Ⅱ 第4章 三角関数

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2.1 三角関数の定義

 数学Ⅰの三角比のところで,角 $\theta$ を $0^\circ$ や $90^\circ$ 以上に拡張した際のアイデアは,そのまま一般角 $\theta$ に対する $\sin$,$\cos$,$\tan$ に適用することができる.

 $x$ 軸の正の向きを始線とする一般角 $\theta$ の動径と,原点を中心とする半径 $r$ の円との交点をPとし,その座標を $(x,\ y)$ とする.このとき,$\sin\theta$,$\cos\theta$,$\tan\theta$ を次で定義する:

三角関数の定義 \[\begin{align*} \sin\theta&=\frac yr\\[5pt] \cos\theta&=\frac xr\\[5pt] \tan\theta&=\frac yx\ \ (\theta\neq\frac\pi2+n\pi,\ n\,\mbox{は整数}) \end{align*}\]

 この定義によれば,$\sin\theta$,$\cos\theta$,$\tan\theta$ の各値は,相似な図形を考えればわかるように半径 $r$ にはよらず,$\theta$ によってただ1つ定まる.つまり角 $\boldsymbol{\theta}$ の関数である.これら $\sin\theta$,$\cos\theta$,$\tan\theta$ を三角関数という.

 $\theta=-\dfrac\pi3$ のときの,$\sin\theta$,$\cos\theta$,$\tan\theta$

 $-\dfrac\pi3$ の動径と,半径2の円との交点をPとすると,Pの座標は $(1,-\sqrt3)$ であるから,

\[\begin{align*} &\sin\left(-\frac\pi3\right)=\frac{-\sqrt3}2=-\frac{\sqrt3}2\\[5pt] &\cos\left(-\frac\pi3\right)=\frac12\\[5pt] &\tan\left(-\frac\pi3\right)=\frac{-\sqrt3}1=-\sqrt3 \end{align*}\]

 代表的な三角関数の値をまとめると次の表のようになる:

$\theta$0$\dfrac\pi6$$\dfrac\pi4$$\dfrac\pi3$$\dfrac\pi2$
$\sin\theta$0$\dfrac12$$\dfrac1{\sqrt2}$$\dfrac{\sqrt3}2$1
$\cos\theta$1$\dfrac{\sqrt3}2$$\dfrac1{\sqrt2}$$\dfrac12$0
$\tan\theta$0$\dfrac1{\sqrt3}$1$\sqrt3$
$\theta$$\dfrac\pi2$$\dfrac{2\pi}3$$\dfrac{3\pi}4$$\dfrac{5\pi}6$$\pi$
$\sin\theta$1$\dfrac{\sqrt3}2$$\dfrac1{\sqrt2}$$\dfrac12$1
$\cos\theta$0$-\dfrac12$$-\dfrac1{\sqrt2}$$-\dfrac{\sqrt3}2$0
$\tan\theta$$-\sqrt3$$-1$$-\dfrac1{\sqrt3}$0

2.2 単位円における三角関数

 原点を中心とする半径1の円を単位円という.

 単位円で三角関数を考えると,半径 $r=1$ であるから次のようになる:

単位円での三角関数 \[\begin{align*} \sin\theta&=y\\[5pt] \cos\theta&=x\\[5pt] \tan\theta&=\frac yx \end{align*}\]

単位円での三角関数

 今後三角関数は基本的に単位円を用いて考えていくことになる.その理由は何か.単に $\sin\theta,\cos\theta$ が分数の表記を取らないからラクだというのは些細なメリットで,それよりずっと大きなメリットは図のように角 $\theta$ の動径をOPとすると,

となることである.つまり

三角関数を単位円で考えることの意義

$\boldsymbol{\sin\theta,\ \cos\theta}$ 視覚化

であり,これは誠に重要である.

補足

 $\theta$ が第2,第3象限の角のとき,$\tan\theta$ の視覚化については次のように考える:

\[\tan\theta=\frac yx=\frac{-y}{-x}=\frac m1=m\]

$\theta$ が第2象限の角のとき

 ※2点 $(x,\ y),\ (-x,\ -y)$ は原点に関して対称である.

例題 $0\leqq\theta<2\pi$ のとき,$\cos\theta=-\dfrac12$ を満たす $\theta$ の値はを求めよ.

こたえ

 解答例を表示する

2.3 三角関数の符号と取りうる値の範囲

三角関数の符号

 単位円で考えたときの三角関数は

\[\sin\theta=y,\ \cos\theta=x,\ \tan\theta=\dfrac yx\]

であったから,$\sin\theta$ は $y$ 座標に,$\cos\theta$ は $x$ 座標にそれぞれ関係している.そして $\tan\theta$ は $\dfrac yx$ であったから, $\sin\theta$ と $\cos\theta$ の符号を掛けたものとして考えることができる.

三角関数の取りうる値の範囲

 すぐ上の符号のときと同様に,単位円で三角関数を考えてみる.単位円とは原点を中心とする半径1の円のことであったから,$x$ 座標,$y$ 座標とも $-1$ 以上 $1$ 以下の値しかとれない.つまり $\sin\theta$ や $\cos\theta$ のとりうる値の範囲は,$-1$ 以上 $1$ 以下である.
 一方 $\tan\theta$ の方は,上の視覚化のところで見たように,いくらでも大きな値や小さな値がとれる.すなわち $\tan\theta$ のとりうる値の範囲は実数全体である.

三角関数のとりうる値の範囲\[-1\leqq\sin\theta\leqq 1\]\[-1\leqq\cos\theta\leqq 1\]

$\tan\theta$ はすべての実数値をとりうる

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