高校数学[総目次]
数学Ⅱ 第3章 図形と方程式
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6. 不等式と領域 | [会員] |
6.1 不等式の表す領域
例 $y>x+1$ の表す領域を考える.
$x=-1$ のとき,$y>0$
$x=0$ のとき,$y>1$
$x=1$ のとき,$y>2$
$x=2$ のとき,$y>3$
$\vdots$
$x$ がすべての実数をとると,$y>x+1$ の表す領域は図の斜線領域である.ただし,境界線は含まない.
補足
図の境界線には,可能な範囲でそのグラフから方程式が復元できるように通過点などを書き込んでおく.例えば,
直線 :2点
円 :中心と半径がわかるようにしておく
放物線:頂点ともう1点
など.
一般に不等式の表す領域は次のようになる:
注意
不等式の表す領域は,通常斜線で図示する.その際,境界線を含む,含まないについてのコメントも必ず添えておく.
発展的補足
例えば,$y\boldsymbol{>}x+1$ の表す領域に属する任意の点を $(x_1,y_1)$ とすると,$y_1>x_1+1$,即ち \[x_1-y_1+1<0\] が成り立つ.
また,$y\boldsymbol{<}x+1$ の表す領域に属する任意の点を $(x_2,y_2)$ とすると,$y_2<x_2+1$,即ち \[x_2-y_2+1>0\] が成り立つ.
つまり,直線 $x-y+1=0$ に関して異なる領域に属する2点の座標を $x-y+1$ に代入すると,式の値は異符号になる.この事実は例えば「直線が座標平面上の2点の間を通過する」といった条件で利用される.
$x>h,\ y>k\ (h,k$ は定数)の表す領域
例1 $x<-1$
例1 $y\geqq1$
例題 不等式 $xy>1$の表す領域を図示せよ.
こたえ
解答例を表示する補足
$y>\dfrac1x$ の表す領域とは異なる:
6.2 円の内部・外部
例題 不等式 $(x\!-\!1)^2\!+\!(y\!-\!2)^2\!\leqq\!3^2$ の表す領域を図示せよ.
P$(x,y)$ ,C$(1,2)$ とすると,与式は \[\begin{align*} {\rm CP}^2&\leqq3^2\\[5pt] \therefore {\rm CP}&\leqq3 \end{align*}\] よって与式を満たすPは,円 $(x\!-\!1)^2\!+\!(y\!-\!2)^2\!=\!3^2$ の周及び内部にある.
従って,与式の表す領域は図の境界線を含む斜線部分である:
一般に次が成り立つ:
[1] $(x-a)^2+(y-b)^2<r^2$
→ 円①の内部
[2] $(x-a)^2+(y-b)^2>r^2$
→ 円①の外部
例題 連立不等式$\left\{\begin{array}{l}y> x+1\\x^2+y^2\leqq 4\end{array}\right.$ の表す領域を図示せよ.
答
解答例を表示する6.3 線形計画法
例題 $x,y$ が次の不等式 \[\left\{\begin{array}{l}x\geqq0,\ y\geqq0\\ 2x+y\leqq10\\ x+3y\leqq15 \end{array}\right.\] を満たすとき,$x+y$ の最大値と最小値を求めよ.
前提となる考え方
例えば,$x+y=5$ となる $(x,y)$ の組は無数にあるが,それらの組1つ1つを座標平面上に落としていくと,1つの図形が浮かび上がる.それは即ち直線 $y=-x+5$ である.この直線上の任意の点 $(x,y)$ について,$x+y$ の値は5になり,その値は $y$ 切片に現れる.和が5になる $(x,y)$ の組は漏れなくこの直線上にあるのであり,この直線上以外の点 $(x,y)$ は決して $x+y$ が5にならない.
ポイント
$x+y=k$ とおく.
→ 直線を表し,$k$ はその $y$ 切片
境界線の傾きに注意して $k$ を動かす
答
解答例を表示する6.4 命題と領域
「$p$ ならば $q$」を「$p\Rightarrow q$」と書く.
「$p\Rightarrow q$」が真であることを示すためには,「$\boldsymbol p$ を満たすどれをとっても $\boldsymbol q$ を満たす」ことを示さなければならない.ここに集合の考え方が役立つ.
条件 $p,q$ の真理集合をそれぞれ $P,Q$ とすると,
$p\Rightarrow q$ が真 $\iff P\subset Q$
例題 $x^2+y^2\leqq1$ ならば $x+y\leqq\sqrt2$ を示せ.
答
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