高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第5章 2次曲線
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1. 放物線 | [会員] | |
2. 楕円 | [会員] | |
3. 双曲線 | [会員] | |
4. 2次曲線の平行移動 | [会員] | |
5. 2次曲線と直線 | [会員] | |
6. 2次曲線の性質 | [会員] | |
7. 曲線の媒介変数表示 | [会員] | |
8. 極座標と極方程式 | [会員] |
5.2次曲線と直線
5.1 2次曲線と直線の共有点
共有点の個数を求める際の考え方は,これまでと何ら変わらない
2次曲線と直線の共有点を考察するにあたって,これまでにない何か特別なことがある訳ではない.基本的には $x$ か $y$ のどちらかの文字を消去して2次方程式を作り,その解の種類,個数を考察するのである.しかし楕円に関しては,下の例題にある通り楕円と円の親戚関係を利用することで,計算が大幅にラクになる場合がある.
直線との共有点の個数の求め方放物線:連立して判別式
楕 円:連立して判別式
双曲線:直線と漸近線が平行でない
→放物線・楕円の-ケースと同じ
直線と漸近線が平行
→漸近線そのもの→0個
→それ以外→1個
例題1 双曲線 $\dfrac{x^2}{12}-\dfrac{y^2}3=1$ と直線 $y=x+k$ の共有点の個数を求めよ.
こたえ
補足
$D=0$ のとき,接するという.漸近線に平行な直線は接線になり得ない.
楕円の場合は円との親戚関係を用いた上手い考え方がある
例題2 楕円 $\dfrac{x^2}9+\dfrac{y^2}4=1$ と直線 $y=kx+3$ の共有点の個数を求めよ.
方針
例題1と同様に解決できるが,楕円と円の関係を用いた次の解法がおすすめ.
こたえ
5.2 2次曲線の接線の方程式
2次曲線上の点における接線の方程式には公式がある
2次曲線上の点 $(x_1,\ y_1)$ 上における接線の方程式は次で与えられる:
2次曲線の接線の方程式
接点の座標が $(x_1,y_1)$ のとき,
①放物線 $y^2=4px \to y_1y=2p(x+x_1)$
②楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 \to \dfrac{x_1x}{a^2}+\dfrac{y_1y}{b^2}=1$
③双曲線 $\left\{
\begin{array}{ll}
\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 &\to \dfrac{x_1x}{a^2}-\dfrac{y_1y}{b^2}=1\\[5pt]
\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=-1 &\to \dfrac{x_1x}{a^2}-\dfrac{y_1y}{b^2}=-1
\end{array}\right.$
覚え方
①放物線 $2x\to x+x_1,\ y^2\to y_1y$
②③楕円,双曲線 $x^2\to x_1x,\ y^2\to y_1y$
証明
数学Ⅲの微分法を用いる証明が最もはやいが,それでなければ次の方法が明快.
点 $(x_1,y_1)$ を通り,方向ベクトルが $(\alpha,\beta)$ である直線 $\ell$ のベクトル方程式は,$t$ を実数として\[(x,y)=(x_1,y_1)+t(\alpha,\beta)\]\[\therefore\left\{\begin{array}{l}
x=x_1+\alpha t\\[5pt]
y=y_1+\beta t
\end{array}\right.\ \ \cdots(*)\]と表せる.この直線が2次曲線上の点 $(x_1,\ y_1)$ における接線となるとき,$x,y$ を消去して得られる $t$ の2次方程式が $\boldsymbol{t=0}$ を重解にもつ.(さもなくば,$t=0$ 以外の $t$ に対応する点で,2次曲線と直線が共有点をもち,接していないことになる.)
① 放物線
$y^2=4px$ に $(*)$ を代入して,
\[\begin{align} (y_1+\beta t)^2&=4p(x_1+\alpha t)\\[5pt] {y_1}^2+2y_1\beta t+\beta^2t^2&=4px_1+4p\alpha t\\[5pt] \end{align}\]
${y_1}^2=4px_1$ に注意して整理すると,
$\beta^2t^2-2(2p\alpha-y_1\beta)t=0$ …①
2次の係数 $\beta^2$ について,$\beta=0$ とすると,直線の方向ベクトルが $(\alpha,\ 0)$ となり,直線は $x$ 軸と平行になるが,放物線 $y^2=4px$ の接線にそのようなものはないので $\beta\neq0$ である.よって①は $t$ の2次方程式である.$\ell$ が放物線の接線のとき,この2次方程式が $t=0$ を重解にもつから,
\[\begin{align}
2p\alpha-y_1\beta&=0\\[5pt]
\therefore (2p,-y_1)\cdot(\alpha,\beta)&=0
\end{align}\] 従ってベクトル $(2p,\ -y_1)$ は,$\ell$ の方向ベクトル $(\alpha,\beta)$ と垂直であるから,$\ell$ の法線ベクトルとなる.よって,接線の方程式は,\[\begin{align} 2p(x-x_1)-y_1(y-y_1)&=0\\[5pt] 2\,p\,x-2\,p\,x_1-y_1\,y+y_1^2&=0\end{align}\]
${y_1}^2=4px_1$ であるから\[2\,p\,x-2\,p\,x_1-y_1y+4\,p\,x_1=0\]\[\therefore y_1y=2p(x+x_1)\]
②,③ 楕円,双曲線
曲線 $C$ の方程式を,$p>0$,$q\neq0$ として
\[C:p\,x^2+q\,y^2=1\]
とおく.$q>0$ のときは楕円で,$q<0$ のときは双曲線を表す.$C$ 上の点を $(x_1,y_1)$ とし,$(*)$ を代入すると,
\[p(x_1+\alpha t)^2+q(y_1+\beta t)^2 =1\]
展開して $t$ について整理すると,$p{x_1}^2+q{y_1}^2=1$ にも注意して
\[ (p\alpha^2+q\beta^2)t^2+2(p\,\alpha\, x_1+q\,\beta \,y_1)t =0\]
$t^2$ の係数 $p\,\alpha^2+q\,\beta^2$ について,これが0でないことを確認しておこう.$(\alpha,\ \beta)$ は $\ell$ の方向ベクトルだからもちろん $(\alpha,\ \beta)\neq\overrightarrow0$.$p>0$ と仮定しておいたから, $q>0$ のときは $p\,\alpha^2+q\,\beta^2\neq0$.また $q<0$ の場合でも,$p\,\alpha^2+q\,\beta^2=0$ となるときは,$\ell$ の方向ベクトル $(\alpha,\ \beta)$ が双曲線の漸近線の方向ベクトル $(\sqrt{-q},\ \pm\sqrt{p})$ と平行になってしまうから不適.以上により $p\,\alpha^2+q\,\beta^2\neq0$ であることがわかった.
よって $\ell$ が2次曲線の接線のとき,この $t$ の2次方程式が $t=0$ を重解にもつから,
\[\begin{align} p\,\alpha\, x_1+q\,\beta\, y_1&=0\\[5pt] (\alpha,\ \beta)\cdot(p\,x_1,\ q\,y_1)&=0 \end{align}\]
よって,$(\alpha,\ \beta)\perp(p\,x_1,\ q\,y_1)$ であるから,ベクトル $(p\,x_1,\ q\,y_1)$ は接線の法線ベクトルとなる.
ベクトル $(p\,x_1,\ q\,y_1)$ について,これが $\overrightarrow0$ でないことを確認しておこう.$p>0$ であるから $x_1\neq0$ のときは $(p\,x_1,\ q\,y_1)\neq\overrightarrow0$.また,$x_1=0$ のときは $p\,{x_1}^2+q\,{y_1}^2=1$ から $y_1\neq0$ だから,このときも $(p\,x_1,\ q\,y_1)\neq\overrightarrow0$.以上により,$(p\,x_1,\ q\,y_1)\neq\overrightarrow0$ であることがわかった.
従って接線の方程式は,
\[p\,x_1(x-x_1)+q\,y_1(y-y_1)=0\]
整理して,$p{x_1}^2+q{y_1}^2=1$ を用いると,
\[px_1x+qy_1y=1\]
補足
数学Ⅲの微分が使えれば,その場での導出もたやすい
数学Ⅲの微分法を用いると次のように示される:
① 放物線
$y^2=4px$ の両辺を $x$ で微分して $2yy’=4p$
$y\neq0$ のとき,$y’=\dfrac{2p}y$.
従ってこのとき接線の方程式は,
\[\begin{align}
y-y_1&=\frac{2p}{y_1}(x-x_1)\\[5pt]
\therefore y_1y&=2p(x-x_1)+{y_1}^2\\[5pt]
\therefore y_1y&=2p(x+x_1)\ \ (\because {y_1}^2=4px_1)\\[5pt]
\end{align}\]
頂点 $(0,0)$ における接線の方程式は $x=0$ であるが,上の式で $(x_1,y_1)=(0,0)$ とおくと $x=0$ となるから,上の式はこの場合も含まれる.
② 楕円
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の両辺を $x$ で微分して\[\frac{2x}{a^2}+\frac{2yy’}{b^2}=0\] $y\neq0$ のとき $y’=-\dfrac{b^2x}{a^2y}$
従ってこのとき接線の方程式は,\[y-y_1=-\dfrac{b^2x_1}{a^2y_1}(x-x_1)\]
両辺を $\dfrac{y_1}{b^2}$ 倍して
\[\begin{align}
\frac{y_1y}{b^2}-\frac{{y_1}^2}{b^2}&=-\frac{x_1}{a^2}(x-x_1)\\[5pt]
\therefore \frac{x_1x}{a^2}+\frac{y_1y}{b^2}&=1\ \ (\because \frac{{x_1}^2}{a^2}+\frac{{y_1}^2}{b^2}=1)
\end{align}\]
$(x_1,y_1)=(\pm a,0)$ における接線の方程式は $x=\pm a$ (複号同順)だから,上の式はこの場合も含まれる.
③ 双曲線
②の楕円の場合と同様にして示される.
例題 点 $(0,3)$ から楕円 $x^2+4y^2=4$ に引いた接線の方程式,及び接点の座標を求めよ.
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