高校数学[総目次]

数学Ⅲ 第5章 2次曲線

  スライド ノート 問題
1. 放物線      
2. 楕円      
3. 双曲線      
4. 2次曲線の平行移動      
5. 2次曲線と直線      
6. 2次曲線の性質      
7. 曲線の媒介変数表示      
8. 極座標と極方程式      

演習問題

問題1【発展】
 楕円 x2a2+y2b2=1  (a>b>0)x2a2+y2b2=1  (a>b>0) 上に点Pをとる.ただし,Pは第2象限にあるとする.点Pにおける楕円の接線を l とし,原点Oを通り l に平行な直線を m とする.直線 m と楕円との交点のうち,第1象限にあるものをAとする.点Pを通り m に垂直な直線が m と交わる点をBとする.このとき OAPB=ab であることを示せ.

(大阪大・一部)

問題1【発展】

 楕円 x2a2+y2b2=1  (a>b>0) 上に点Pをとる.ただし,Pは第2象限にあるとする.点Pにおける楕円の接線を l とし,原点Oを通り l に平行な直線を m とする.直線 m と楕円との交点のうち,第1象限にあるものをAとする.点Pを通り m に垂直な直線が m と交わる点をBとする.このとき OAPB=ab であることを示せ.

(大阪大・一部)

 大阪大学(2001)の一部です.原題では(2)までありましたが,これはその(1)です.問題自体は基本的ですが,文字式が膨らみがちなので,上手く塊を見つけてコンパクトにまとめることができるといいですね.

解答

 P(x1, y1)  (x1<0, y1>0) とすると,x12a2+y12b2=1 を満たす.

 点Pにおける接線 l の方程式は x1xa2+y1yb2=1

 直線 m は原点Oを通り,l//m であるから x1xa2+y1yb2=0 すなわち b2x1x+a2y1y=0 と表される.

 よって点Pと直線 m の距離は,A=b4x12+a4y12 とおくと

PB=|b2x12+a2y12|A=a2b2(x12a2+y12b2)A=a2b2A …①

となる.

 次に点Aの座標を求める.m の方程式を y について解くと y=b2x1a2y1x …②

 これを楕円の方程式に代入して

x2a2+(b2x1a2y1x)2b2=1

x2a2+b2x12a4y12x2=1

a2y12+b2x12a4y12x2=1

 x2 について解いて

x2=a4y12a2y12+b2x12=a4y12a2b2(x12a2+y12b2)=a4y12a2b2=a2y12b2

 よって②より y2

y2=(b2x1a2y1)2a2y12b2=b2x12a2

 故にOAの長さは

OA=x2+y2=a2y12b2+b2x12a2=Aab …③

 従って①,③より

OAPB=Aaba2b2A=ab

補足

 点Aの座標を求めるところが計算量が多く,大変だった訳ですが,次のように円と楕円の親戚関係を用いることで簡単に求めることもできます.

青色:y 軸方向に ab 倍の拡大・縮小
緑色:原点を中心とする 90 の回転移動
赤色:y 軸方向に ba 倍の拡大・縮小

 P(x1, y1)
 ↓ y 軸方向に ab 倍(この変換でl//mは保存される)
 P(x1, ay1b)
 ↓ 90 の回転移動(符号に注意し,(内積)=0を利用)
 A(ay1b, x1)
 ↓ y 軸方向に ba
 A(ay1b, bx1a)