点Oを極とする極座標表示で表された曲線上の点をPとするとき,線分OPの通過領域の面積を求める際に,強力な威力を発揮するのが扇型分割による積分です.ここではこの積分公式の証明を行います.

高校数学ノート[総目次]

高校数学ワンポイント

スライド↓        ノート↓
1.ファクシミリの原理 無料    【ノート
2.バウムクーヘン分割 無料    【ノート
3.円と放物線            【ノート
4.垂線の長さ            【ノート
5.不定方程式            【ノート
6.関数の連続性は導関数に遺伝するか 【ノート
7.極方程式における $r$ の正負について 【ノート
8.極座標表示における扇形分割積分  【ノート
※【ノート】はスライドの内容をまとめたものです.

1.扇形分割の積分公式

 極座標において,O を極,P$\boldsymbol{(r,\theta)}$ とする.$\boldsymbol{\theta=\alpha}$ から $\boldsymbol{\theta=\beta}$ まで線分OP が通過する面積は, \[\boldsymbol{\int_\alpha^\beta\!\frac 12r^2d\theta}\]

証明

 図の斜線部分の面積を $S(\theta)$ とします.$\theta$ が微小量 $\Delta\theta(>0)$ だけ変化したときの面積の変化量は,$\theta$ から $\theta+\Delta\theta$ までの $r$ の最大値,最小値をそれぞれ $M,m$ とすると \[\frac 12m^2\Delta\theta\leqq S(\theta+\Delta\theta)-S(\theta)\leqq \frac 12M^2\Delta\theta.\]

となります.正の数 $\Delta \theta$ で各辺を割ると \[\frac 12m^2\leqq \frac{S(\theta+\Delta\theta)-S(\theta)}{\Delta\theta}\leqq \frac 12M^2. \]  ここで $\Delta\theta\to +0$ とすると,$M\to r,\ m\to r$ となりますから,はさみうちの原理により

(中辺) $\to\dfrac 12r^2\ \ (\Delta \theta\to +0)$

となります.$\Delta\theta < 0$のときも同様ですから結局

(中辺) $\to\dfrac 12r^2\ \ (\Delta \theta\to 0)$

です.ところで,中辺において $\Delta \theta\to 0$とした式 \[\lim_{\theta\to0}\frac{S(\theta+\Delta\theta)-S(\theta)}{\Delta\theta}\] は,$S'(\theta)$ の定義式に他なりません.つまり, \[S'(\theta)=\frac 12r^2\] であることがわかりました.従って求める面積は, \[\begin{align*} S(\beta)-S(\alpha)&=\Bigl[S(\theta)\Bigr]_\alpha^\beta\\[5pt] &=\int_\alpha^\beta\!S'(\theta)\,d\theta\\[5pt] &=\int_\alpha^\beta\!\frac 12r^2\,d\theta. \end{align*}\]

2.応用例

 扇形分割の積分公式を使って面積を求めてみましょう.この公式が使えるケースは

  • 極方程式として $r=f(\theta)$ が与えられている場合
  • 点$(x,y)$ が $r=f(\theta)$ として $(x,y)=(r\cos\theta,r\sin\theta)$ と書ける,即ち\[\left(\begin{array}{c}x\\y\end{array}\right)=f(\theta)\left(\begin{array}{c}\cos\theta\\ \sin\theta\end{array}\right)\] と極座標表示できる場合

です.

Q. $xy$ 平面上の曲線 $C:x=e^{-\theta}\cos \theta,\ $$y=e^{-\theta}\sin \theta\ $$(0\leqq \theta\leqq \pi)$ と $x$ 軸とで囲まれる部分の面積 $S$ を求めよ.

解法の指針

 $f(\theta)=e^{-\theta}$ として,$\left(\begin{array}{c}x\\y\end{array}\right)=f(\theta)\left(\begin{array}{c}\cos\theta\\ \sin\theta\end{array}\right)$ と表すことができますから,扇形分割の積分公式が使えます.

\[r^2=e^{-2\theta}(\cos^2\theta+\sin^2\theta)=e^{-2\theta}\] となりますから, \[\begin{align*} S&=\int_0^\pi\!\frac12 e^{-2\theta}\,d\theta\\[5pt] &=\Bigl[-\frac14e^{-2\theta}\Bigr]_0^\pi\\[5pt] &=\boldsymbol{\frac{1-e^{-2\pi}}4}\ \ \cdots(\mbox{答}) \end{align*}\]


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1.ファクシミリの原理 無料    【ノート
2.バウムクーヘン分割 無料    【ノート
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4.垂線の長さ            【ノート
5.不定方程式            【ノート
6.関数の連続性は導関数に遺伝するか 【ノート
7.極方程式における $r$ の正負について 【ノート
8.極座標表示における扇形分割積分  【ノート
※【ノート】はスライドの内容をまとめたものです.