大学入試において,円と放物線の位置関係を問う問題がしばしば出題されますが,このテーマを扱っている教科書があまり見当たりません.円と放物線が異なる4点で交わる場合や,円と放物線が接する場合の考え方は,一度は体系的に学んでおかないと受験本番でいきなり対処するというのはなかなか難しいことです.特に円と放物線が接する場合は,単に重解条件のみならず複数のパターンがありますから注意が必要です.

1.異なる4点で交わる場合

簡単のために,円と放物線の方程式をそれぞれ \[ \left\{ \begin{array}{lr} x^2+y^2=1,&\ \ \ \cdots ①\\ y=x^2+k&\ \ \ \cdots ② \end{array} \right.\] としておきます.放物線は軸が直線 $x=0$ ですから $y$ 軸に関して対称です.そして次の問題を考えてみましょう.

Q. 円と放物線が異なる4点で交わるとき,$k$ の値の範囲を求めなさい.

A. 円と放物線が異なる4点で交わる必要かつ十分なる条件は

①かつ②を満たす異なる4つの実数の組 $\boldsymbol{(x,\ y)}$ が存在すること  $\cdots$ (*)

です.方針は概ね次の2つです:

  1. $y$ を消去して $x$ の4次方程式を作る.
  2. $x$ を消去して $y$ の2次方程式を作る.

まず方針1

 ②を①に代入して $y$ を消去すると \[\begin{gather*} x^2+(x^2+k)^2=1.\\[5pt] \therefore\ \ x^4+(2k+1)x^2+k^2-1=0. \end{gather*}\]  従ってこの $\boldsymbol{x}$ の4次方程式が異なる4つの実数解をもてば,上の(*)が満たされます.何故と言うに,

②式により $\boldsymbol{x}$ に応じて実数 $\boldsymbol{y}$ がただ1つ決まるから

です.$x^2=t$ とおくと $t\geqq 0$ ですから \[ t^2+(2k+1)t+k^2-1=0\] が異なる2つの正の解(下の[注]参照)をもつ条件を求めればよいことがわかります. \[\begin{gather*} -\frac{2k+1}2>0,\ (2k+1)^2-4(k^2-1)>0,\ k^2-1 > 0.\\[5pt] \therefore k<-\frac 12,\ \mbox{かつ}\ \ k>-\frac 54,\ \mbox{かつ}\ k<-1,\ 1< k.\\[5pt] \therefore -\frac 54< k<-1.\ \ \cdots (\mbox{答}) \end{gather*}\]

[注] $t=0$ から $x$ の値は $x=0$ の1つしか出てこないため,異なる4つの実数解をもつことができません.

次に方針2

 ②より \[ x^2=y-k.\ \ \ \cdots ③\]  これを①に代入して \[\begin{gather*} (y-k)+y^2=1.\\[5pt] \therefore\ y^2+y-k-1=0. \end{gather*}\]  ここで(*)の条件が,この $\boldsymbol{y}$ の2次方程式が異なる2つの実数解を持つことではないことに注意します.何故と言うに

③式より $\boldsymbol{y}$ に応じた実数 $\boldsymbol{x}$ が存在するとは限らない

からです.③より $x^2=y-k\geqq 0$ ですから,(*)の条件は「$y$ の2次方程式が $y>k$ (下の[注]参照)に異なる2つの実数解を持つこと」です.よって \[\begin{gather*} -\frac 12>k,\ 1^2-4(-k-1)>0,\ k^2+k-k-1>0.\\[5pt] \therefore\ \ k<-\frac 12,\ \mbox{かつ}\ k>-\frac 54,\ \mbox{かつ}\ k<-1,\ 1< k.\\[5pt] \therefore\ \ -\frac 54 < k<-1.\ \ \cdots (\mbox{答}) \end{gather*}\]

[注] $y=k$ から $x$ の値は $x=0$ の1つしか出てこないため,異なる4つの実数解をもつことができません.

補足

 ③より「$y-k>0$ の範囲に実数解を持つ」としましたが,$y-k=1-y^2>0$ ですから「$-1<y<1$ の範囲に実数解を持つ」としてもよいでしょう.

2.接する場合

 放物線の軸上に中心がある円が,その放物線と接するとき,位置関係について,図の4タイプが考えられます.入試では$1^\circ$と$4^\circ$が頻出です.$1^\circ$~$3^\circ$は接点が放物線の頂点の場合です.

2.1 タイプ1$^\circ$

 放物面のグラスに球を落とすとき,果たして球はグラスの底に達するでしょうか?タイプ$4^\circ$を見れば,球の半径がある値を超えてしまうとそれは叶わないことがわります.となれば,底に到達する球の半径の最大値に興味があるでしょう.

Q. 放物線 $y=x^2\ \ \cdots ①$について,タイプ$1^\circ$になる円の半径の最大値を求めなさい.

A. タイプ$1^\circ$になるとき,円の方程式は \[ x^2+(y-b)^2=b^2 \ \ \cdots \mbox{②}\] とおけます.
 まず①,②の2つの図形は共有点$\boldsymbol{(0,\ 0)}$をもつことに注意をしておきます.$x$ を消去すると \[\begin{gather*} y+(y-b)^2=b^2,\\[5pt] y^2-(2b-1)y=0,\\[5pt] y\{y-(2b-1)\}=0,\\[5pt] \therefore\ \ y=0,\ 2b-1 \end{gather*}\]  タイプ$1^\circ$ では①と②を満たす実数の組 $(x,\ y)$ を $(0,\ 0)$ の1組しかもちません.$y>0$ の解を持つと,①よりその $y$ に応じて実数 $x$ が $\pm \sqrt y$ と2つ現れます.これはタイプ$3^\circ$ です.従って \[ 2b-1\leqq 0\ \ \therefore b\leqq \frac 12.\]  よって半径の最大値は $\dfrac 12$ です.

2.2  タイプ2$^\circ$

 円と放物線の方程式をそれぞれ
\[\left\{\begin{array}{l} x^2+(y-b)^2=b^2,\\ y=x^2 \end{array} \right.\] とすれば,$b<0$ のケースです.

2.3  タイプ3$^\circ$

 $1^\circ$で議論済みです.

2.4  タイプ4$^\circ$

Q. 円と放物線の方程式をそれぞれ \[ \left\{ \begin{array}{lr} x^2+(y-b)^2=1,&\ \ \ \cdots \mbox{①}\\ y=x^2&\ \ \ \cdots \mbox{②} \end{array} \right.\] とする.タイプ$4^\circ$ のようになるとき,$b$ の値を求めなさい.

A. $x$ を消去すると \[\begin{gather*} y+(y-b)^2=1,\\[5pt] \therefore\ \ y^2-(2b-1)y+b^2-1=0. \end{gather*}\]  この $y$ の2次方程式が正の重解を持てばよいのですから \[\begin{gather*} \frac{2b-1}2>0,\ (2b-1)^2-4(b^2-1)=0.\\[5pt] \therefore\ b=\frac 54.\ \ \cdots (\mbox{答}) \end{gather*}\]

補足

 放物線上の点 $(t,\ t^2)$ と点 $(0,\ b)$ との距離の平方は \[t^2+(t^2-b)^2=t^4-(2b-1)t^2+b^2\] となり,$t^2$ の2次関数が $t^2>0$ において最小値1をとるための条件を求めればよいことがわかります.それは \[\frac{2b-1}2>0,\ かつ\ -\frac{(2b-1)^2}4+b^2=1 \] であり,第2式は結局解答の $(\mbox{判別式})=0$ と同じになります.

3.その他のケース

 先のタイプ$4^\circ$でみた \[ \left\{ \begin{array}{l} x^2+(y-b)^2=1,\\ y=x^2 \end{array} \right.\] について,円の中心の $y$ 座標である $b$ の値で分類すると上の①~⑦が考えられます.ここで $x$ を消去して得られる $y$ の2次方程式 \[ y^2-(2b-1)y+b^2-1=0\] は一体どんな解を持つでしょうか.準備として判別式 $D$ を計算しておくと \[ D=(2b-1)^2-4(b^2-1)=-4b+5\] となります.

  1. ① $b > 5/4$ のケースですから $D < 0$,即ち異なる2つの虚数解を持つ場合です.
  2. ② $b=5/4$ のケースですから $D=0$,即ち重解を持つ場合です.
  3. ③ $1 < b < 5/4$ のケースですから $D > 0$ であり,異なる2つの正の実数解を持つ場合です.
  4. ④ $b=1$ のケースですから $D > 0$ であり,0と正の実数解を持つ場合です.
  5. ⑤ $-1< b< 1$ のケースですから $D > 0$ であり,正負の2つの実数解を持つ場合です.
  6. ⑥ $b=-1$ のケースですから $D > 0$ であり,0と負の実数解を持つ場合です.
  7. ⑦ $b < -1$ のケースですから $D > 0$ であり,異なる2つの負の実数解を持つ場合です.

 ②,④,⑥は円と放物線が接していますが,このうち④,⑥は $D > 0$ です.即ち

円と放物線が接する場合,必ずしも $\boldsymbol{D=0}$ に結びつかない

ことに注意しなければなりません.