高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第2章 微分法
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10.関数の極大・極小
10.1 極大・極小
極大・極小については数学Ⅱ で既出である.極大や極小については数学Ⅱの方で詳細に説明したのでそちらを参照されたい.
極大値・極小値の定義
関数 $f(x)$ は連続とする.
$x=a$ を含む開区間で,どんな $x\,(\neq a)$ についても
$f(a)>f(x)$ のとき,$f(a)$ を $f(x)$ の極大値
$f(a)<f(x)$ のとき,$f(a)$ を $f(x)$ の極小値
という.また,極大値と極小値をあわせて極値という.
注意
極大・極小は,微分可能性とは無関係である.例えば,関数$f(x)=|x|$ は,$x=0$ で微分可能ではないが,$x=0$ で極小となっている.


10.2 $f(a)$ が極値であるための必要条件
微分可能な関数 $f(x)$ が $x=a$ で極値をとるとする.このとき $f'(a)=0$ が成り立つ.これは数学Ⅱの微分法のときにもお世話になっていたものである.$f'(a)=0$ は $f(x)$ が $x=a$ で極値をとるための必要条件である.
定理 $f(x)$ が微分可能であるとき,
$f(a)$ が極値 $\Longrightarrow\ f'(a)=0$
発展的補足
$f(x)$ が整式の場合などほとんど明らかと思われるこの定理.実際教科書にも証明が書かれていない.しかし例えば次の関数は $x=0$ で極小となるが,$x=0$ の付近で無限回振動するから,本当に $f'(0)=0$ なのかは明らかではない.(この関数については次節10.3に詳細な説明有.)
\[f(x)=\left\{\begin{array}{ll} x^2\left(\cos\dfrac1x+2\right)&(x\neq0)\\[5pt] 0&(x=0) \end{array}\right.\]
そこでこの定理を証明する.
証明
ある開区間で微分可能な関数 $f(x)$ が,区間内の $x=a$ で極大になるとすれば,区間内の任意の $x$ について
$f(x)\leqq f(a)\ \cdots$ ①
が成り立つ.$x=a$ で微分可能であるから
\[\lim_{x\to a}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}=f'(a)\]
となるが,①より左辺の分子は常に0以下であることに注意する.ここで $x\to a+0$ のとき,$x-a\to +0$ であるから
\[\lim_{x\to a+0}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\leqq 0\ \ \ \therefore f'(a)\leqq0\]
一方,$x\to a-0$ のとき,$x-a\to -0$ であるから
\[\lim_{x\to a-0}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\geqq 0\ \ \ \therefore f'(a)\geqq0\]
従って,$f'(a)\leqq0$ かつ $f'(a)\geqq0$ となるから, $f'(a)=0$.
$x=a$ で極小となる場合も同様である.
■
注意
逆 $(\Leftarrow)$ は成り立たない.
(反例) $f(x)=x^3$ のとき,$f'(x)=3x^2$ より $f'(0)=0$.しかるに $f(0)$ は極値ではない.


10.3 $f(a)$ が極値であるための十分条件
前節10.2では,「$f(a)$ が極値である」というのが仮定で,「$f'(a)=0$」 というのが結論であった.今度は逆に,「$f(a)$ が極値である」が結論にくるような命題を見てみよう.「 は $f(a)$ が極値であるための十分条件である」の下線部に入るようなものである.
定理 $x=a$ を含むある開区間で $f(x)$ は微分可能かつ $f'(a)=0$ とする.この区間内において,
① $x< a$ で $f'(x) > 0,\ a < x$ で $f'(x) < 0$
$\Longrightarrow f(a)$ は極大値

② $x<a$ で $f'(x) < 0,\ a < x$ で $f'(x) > 0$
$\Longrightarrow f(a)$ は極小値

証明
① $x<a$ で $f'(x)>0$ であるから,区間内の $x\leqq a$ で $f(x)$ は単調に増加する.従って区間内のすべての $x\,(< a)$ で $f(x)< f(a)$.
また,$x>a$ で $f'(x)<0$ であるから,区間内の $x\geqq a$ で $f(x)$ は単調に減少する.従って区間内のすべての $x\,(> a)$ で $f(x)< f(a)$.
従って,この開区間において $f(a)$ は最大値となるから極大値である.
② ①と同様に示される.
■
発展的注意
逆 $(\Leftarrow)$ は成り立たない.
(反例)
\[f(x)=\left\{ \begin{array}{ll} x^2\left(\cos\dfrac1x+2\right)&(x\neq0\mbox{のとき})\\[5pt] 0&(x=0\mbox{のとき}) \end{array}\right.\]
この関数 $f(x)$ は $x\ne0$ のとき,
\[\begin{align*} f'(x)&=2x\left(\cos\frac1x+2\right)+x^2\left\{-\sin\frac1x\cdot\left(-\dfrac1{x^2}\right)\right\}\\[5pt] &=2x\left(\cos\frac1x+2\right)+\sin\dfrac1x \end{align*}\]
であるから微分可能.また $x=0$ でも微分可能で,$f'(0)=0$.実際,
\[\begin{align*} \lim_{x\to0}\frac{f(x)-f(0)}{x-0}&=\lim_{x\to0}\dfrac{x^2\left(\cos\frac1x+2\right)}x\\[5pt] &=\lim_{x\to0}x\left(\cos\dfrac1x+2\right)\\[5pt] &=0\ \ (\because\mbox{はさみうちの原理}) \end{align*}\]
また,$-1\leqq\cos\dfrac1x\leqq1$ より $1\leqq\cos\dfrac1x+2\leqq3$ であるから,$f(x)$ のグラフは放物線 $y=x^2$ の上側かつ $y=3x^2$ の下側となり,$f(0)=0$ と定義されていることから $f(0)$ は極小値である.
ところが,$f(x)$ は $x=0$ の近くで $x^2$ と $3x^2$ の間を無限回振動するから,$f'(x)$ の符号は $x < 0$ 及び $x > 0$ それぞれで定符号ではない.

原点の近くで無限回振動する.

10.4 $\dfrac{f(x)}{g(x)}$ の極値
微分可能な関数 $\dfrac{f(x)}{g(x)}$ が,$x=a$ で極値をとるならば, \[ \frac{f(a)}{g(a)}=\frac{f'(a)}{g'(a)}\ \ \ \ (\mbox{ただし},g'(a)\neq 0)\]
証明
$h(x)=\dfrac{f(x)}{g(x)}$ とおくと, \[h'(a)=\frac{f'(a)g(a)-f(a)g'(a)}{\{g(a)\}^2}=0\] であるから, \[\frac{f(a)}{g(a)}=\frac{f'(a)}{g'(a)}\]
■
例題 $f(x)=\dfrac{4x+3}{x^2+1}$ の極値を求めよ.
こたえ
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