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高校数学[総目次]

数学Ⅲ 第2章 微分法

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3.逆関数の微分法

3.1 逆関数とは

 逆関数を論じる前に,「逆」の文字のない通常の「関数」とは何であったかを確認しておく.

「$\boldsymbol y$ は $\boldsymbol x$ の関数である」とは

$x$ の値に対して $y$ の値がただ1つ決まるとき, $y$ は $x$ の関数であるという

 例として $y=x+1$ を考える.この式から,

  $x=0$ のとき,$y=1$
  $x=1$ のとき,$y=2$
  $x=2$ のとき,$y=3$
      $\vdots$

のように,$x$ の値に対して $y$ の値がただ1つ対応しているから $y$ は $x$ の関数であるといえる.

 いま $x$ の方を先に決めて,それに応じて $y$ の値が1つ決まったが,逆に $y$ の方を先に決めてもそれに応じて $x$ の値がただ1つ決まる:

  $y=1$ のとき,$x=0$
  $y=2$ のとき,$x=1$
  $y=3$ のとき,$x=2$
      $\vdots$

 つまり, $x$ は $y$ の関数となっているのである.この逆対応は $x=y-1$ である.数学においてはしばしば先に決める方の文字を $x$,それに伴って決まる方の文字を $y$ とおくので,この逆対応を表す関数は $x$ と $y$ の文字を入れ替えて

\[x=y-1\ \ \to\ \ y=x-1\]

と表される.この関数 $y=x-1$ をもとの関数 $y=x+1$ の逆関数という.

逆関数とは

 関数 $y=f(x)$ について,$y$ の値を先に決めたときにもそれに応じて $x$ の値がただ1つ決まるとする.このとき,$x$ と $y$ を入れ替えた式 $x=f(y)$ を $y$ について解いたときの $x$ の式を $f^{-1}(x)$ で表し,これを $f(x)$ の逆関数という.

 上の例では $f(x)=x+1$ とすると,$f^{-1}(x)=x-1$ である.

 注意点として,ある関数に対してその逆関数は常に存在するとは限らない.例えば, 関数 $y=x^2$ は $x=2$ に対して $y=4$ が対応するが,逆に $y=4$ のとき, $x$ は $2$ と $-2$ の2つが対応しているため関数とは言えない.つまり関数 $y=x^2$ の逆関数は存在しない.

3.2 逆関数の微分法

 関数 $y=f(x)$ に逆関数があるとする.目標はこの関数の導関数 $\dfrac{dy}{dx}$ を求めるのに,逆関数の導関数を利用することである.

\[y=f(x)\iff x=f^{-1}(y)\ \cdots\mbox{①}\]

 この両辺を $x$ で微分すると, \[1=\frac d{dx}f^{-1}(y)\ \cdots\mbox{②}\]  合成関数の導関数により, \[\begin{align*} \mbox{②の右辺}&=\frac d{dy}f^{-1}(y)\cdot\frac{dy}{dx}\\ &=\frac{dx}{dy}\cdot\frac{dy}{dx}\ \ (\because\mbox{①}) \end{align*}\]  よって,②は \[\begin{gather*} 1=\frac{dx}{dy}\cdot\frac{dy}{dx}\\ \therefore\frac{dy}{dx}=\frac1{\frac{dx}{dy}} \end{gather*}\]

逆関数の微分法

\[ \frac {dy}{dx}=\frac1{\frac{dx}{dy}} \]

例題 $x>0$ とする.$y=x^{\frac1n}\ (\,n$ は自然数)のとき,$\dfrac{dy}{dx}$ を求めよ.

こたえ

 解答例を表示する >

 この例題の結果を用いて,以下の公式が示される:

公式 $r$ が有理数のとき, \[ (x^r)’=rx^{r-1} \]

証明

 $r=\dfrac mn\ (\,m$ は整数,$n$ は自然数)とおくと, \[y=x^{\frac mn}=\left(x^{\frac1n}\right)^m\]  よって合成関数の導関数により, \[\begin{align*} \frac{dy}{dx}&=m\left(x^{\frac1n}\right)^{m-1}\cdot\left(x^{\frac1n}\right)’\\ &=mx^{\frac mn-\frac1n}\cdot \underline{\frac1n x^{\frac 1n-1}}\ \ (\because\mbox{上の例題})\\ &=\frac mn x^{\frac mn-1}\\ &=rx^{r-1} \end{align*}\]

例題1 $y=\sqrt[3]{x^4}$ を微分せよ.

こたえ

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例題2 $y=\sqrt[4]{x^2+x+1}$ を微分せよ.

こたえ

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応用例題 $y=\sin x\ (-\dfrac\pi2<x<\dfrac\pi2)$ の逆関数を $g(x)$ とするとき,$g'(x)$ を $x$ で表せ.

こたえ

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