高校数学[総目次]
数学Ⅰ 第1章 2次関数
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1. 2次関数のグラフ | [無料] | [会員] | |
2. 関数のグラフの移動 | [無料] | [会員] | |
3. 2次関数の最大・最小 | [無料] | [会員] | |
4. 2次関数の決定 | [無料] | [会員] | |
5. 2次関数のグラフと方程式 | [無料] | [会員] | |
6. 2次不等式とグラフ | [無料] | [会員] | |
7. 2次方程式の解の配置 | [無料] | [会員] |
6. 2次不等式とグラフ
6.1 2次不等式
まずは1次不等式の復習から
例 1次不等式 $2x-6>0$ を解け.
変形して $2x>6$.$x$ の係数2が正の数であることに注意をして,両辺を2で割ると $x>3$.答えは $x>3$ である.これを視覚的に捉えてみよう.$y=2x-6$ のグラフは次のようになる.
不等式 $2x-6>0$ を解くということは,この関数の値が $y>0$ となる $x$ の値の範囲を考えることに他ならない.これはグラフが黄色で塗られた領域に属する $x$ の値の範囲を考えることで,$x>3$ となることがわかる.
このように不等式というのは
グラフを描いて視覚的に捉える
ことが大切である.
2次不等式は2次関数のグラフから考えるのが基本
例題 次の2次不等式を解け.
(1) $x^2-2x-3>0$
(2) $x^2-2x-3<0$
こたえ
左辺の式はいずれも $x^2-2x-3$ である.この式を変形すると $x^2-2x-3=(x+1)(x-3)$ となるから,グラフは $x$ 軸と $-1$ と $3$ で交わる.従って $y=x^2-2x-3$ のグラフは次のようになる.グラフの上にある表は,$x$ が整数であるいくつかの値と,そのときの $y$ の値である.
(1) $x^2-2x-3>0$ すなわち $y>0$ のとき,$x<-1,\ 3<x$
(2) $x^2-2x-3<0$ すなわち $y<0$ のとき,$-1<x<3$
一般に次が成り立つ:
$a\!>\!0$ とする.2次方程式 $ax^2\!+\!bx\!+\!c\!=\!0$ が異なる2つの実数解 $\alpha,\beta\ (\alpha<\beta)$ をもつとき,
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!>\!0$ の解は $x\!<\!\alpha,\ \beta\!<\!x$
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!\geqq\!0$ の解は $x\!\leqq\!\alpha,\ \beta\!\leqq\! x$
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!<\!0$ の解は $\alpha\!<\!x\!<\!\beta$
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!\leqq\!0$ の解は $\alpha\!\leqq\!x\!\leqq\!\beta$
補足
$a <0$ のときは,両辺に $-1$ を掛けて,$x^2$ の係数を正にしてから考えるとよい.これはつまらないケアレスミスを防ぐためである.
(このとき不等号の向きが変わるので注意.)
6.2 放物線が $x$ 軸に接する場合
グラフを使って目で考えるのが基本
例題 次の2次不等式を解け.
(1) $x^2-2x+1>0$
(2) $x^2-2x+1\geqq 0$
(3) $x^2-2x+1<0$
(4) $x^2-2x+1\leqq0$
こたえ
左辺はどれも同じで $x^2-2x+1$.これを0とおいた2次方程式 $x^2-2x+1=0$ は $(x-1)^2=0$ と変形できるから,$x=1$ を重解にもつ.また左辺を $y$ とおいた2次関数 $y=x^2-2x+1$ のグラフは,頂点が $(1,\ 0)$ であるから $x$ 軸に $x=1$ で接する下に凸な放物線である.
よって答えは
(1) $x^2-2x+1>0$ の解は,$x<1,\ 1<x$
(2) $x^2-2x+1\geqq0$ の解は,すべての実数
(3) $x^2-2x+1<0$ の解は,なし
(4) $x^2-2x+1\leqq0$ の解は,$x=1$ (等式!)
※4番目の例では不等式の解が等式となっていることに注意.
$a\!>\!0$ とする.2次方程式 $ax^2\!+\!bx\!+\!c\!=\!0$ が $p$ を重解にもつとき,
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!>\!0$ の解は $x\!<\!p,\ p\ \!<\!x$
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!\geqq\!0$ の解は すべての実数
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!<\!0$ の解は なし
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!\leqq\!0$ の解は $x=p$
6.3 放物線が $x$ 軸と共有点をもたない場合
ここでもグラフを使って目で考えるのが基本
例題 次の2次不等式を解け.
(1) $x^2-2x+2>0$
(2) $x^2-2x+2\geqq 0$
(3) $x^2-2x+2<0$
(4) $x^2-2x+2\leqq0$
こたえ
左辺はどれも同じで $x^2-2x+2$.この左辺を $y$ とおいた2次関数 $y=x^2-2x+2$ を考えると, $y\!=\!x^2\!-\!2x\!+\!2\!=\!(x\!-\!1)^2\!+\!1$ となるから,グラフの頂点は $(1,\ 1)$.従ってグラフは $x$ 軸より上側にある下に凸な放物線である.よって
(1) $x^2-2x+2>0$ の解は,すべての実数
(2) $x^2-2x+2\geqq0$ の解は,すべての実数
(3) $x^2-2x+2<0$ の解は,なし
(4) $x^2-2x+2\leqq0$ の解は,なし
$a\!>\!0$ とする.2次方程式 $ax^2\!+\!bx\!+\!c\!=\!0$ が 実数解をもたないとき,
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!>\!0$ の解は すべての実数
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!\geqq\!0$ の解は すべての実数
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!<\!0$ の解は なし
$ax^2\!+\!bx\!+\!c\!\leqq\!0$ の解は なし
非常によくある間違い
数学Ⅱで複素数を習ったあとにしばしばみられる誤答
問題 $x^2-2x+2<0$ を解け.
誤答 $x^2-2x+2=0$ を解くと,解の公式から $x=1\pm i$.よって
$1-i<x<1+i\ \ \cdots$ (答)
そもそも虚数に大小の概念はない.($2i<3i$ などは正しくない.) 2次不等式を考える際には常に2次関数のグラフとリンクさせて考えると間違いが少ない.
次は,7.2次方程式の解の配置
前は,5.2次関数のグラフと方程式
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