例えば四面体の体積を求める際など,空間内の1点から平面に下ろした垂線の長さが必要なことがしばしば起こります.ここでは,垂線の長さの求め方を,空間内の座標が与えられている場合と,そうでない場合について,主にベクトルを用いた考え方についてまとめています.
高校数学[総目次]
高校数学ワンポイント

1.成分が与えられているとき

この問題に対する以下の5つの解法を順に説明します:
- 1∘1∘ →(DH=r→(DA+s→(DB+t→(DC−−→(DH=r−−→(DA+s−−→(DB+t−−→(DC, r+s+t=1r+s+t=1 とおく.
- 2∘2∘ →(DH=→(DA+s→(AB+t→(AC−−→(DH=−−→(DA+s−−→(AB+t−−→(ACとおく.
- 3∘3∘ 正射影ベクトルの利用.
- 4∘4∘ 点 DD を通る直線の方程式を利用.
- 5∘5∘ 点と平面の距離の公式を利用.
お手軽さの順は,軽い方から概ね
3∘, 5∘>4∘≫1∘, 2∘3∘, 5∘>4∘≫1∘, 2∘
です.
1∘1∘ →(DH=r→(DA+s→(DB+t→(DC−−→(DH=r−−→(DA+s−−→(DB+t−−→(DC , r+s+t=1r+s+t=1とおく
→(DH=r→(DA+s→(DB+t→(DC, r+s+t=1⋯①−−→(DH=r−−→(DA+s−−→(DB+t−−→(DC, r+s+t=1⋯① とおきます.
→(DA=(0,−2,−3),→(DB=(−1,0,−3),→(DC=(−1,−2,0)−−→(DA=(0,−2,−3),−−→(DB=(−1,0,−3),−−→(DC=(−1,−2,0) ですから,
→(DH=r(0, −2, −3)+s(−1, 0, −3)+t(−1, −2, 0)=(−s−t,−2r−2t,−3r−3s)
です.→(DH⊥→(AB かつ →(DH⊥→(AC
により,
(−s−t,−2r−2t,−3r−3s)⋅(−1, 2, 0)=0⋯②(−s−t,−2r−2t,−3r−3s)⋅(−1, 0, 3)=0⋯③
①~③ より r=−2349, s=3149, t=4149.
従って →(DH=−1249(6, 3, 2) となりますから,
DH=|−1249|√62+32+22=127

2∘ →(DH=→(DA+s→(AB+t→(AC とおく
→(DH=→(DA+s→(AB+t→(AC とおきます.
→(DA=(0,−2,−3), →(AB=(−1,2,0), →(AC=(−1,0,3) ですから,
→(DH=(0, −2, −3)+s(−1, 2, 0)+t(−1, 0, 3)=(−s−t, −2+2s, −3+3t)
です. →(DH⊥→(AB かつ →(DH⊥→(AC により,
(−s−t, −2+2s, −3+3t)⋅(−1, 2, 0)=0⋯①(−s−t, −2+2s, −3+3t)⋅(−1, 0, 3)=0⋯②
①,②より s=3149, t=4149.
従って →(DH=−1249(6, 3, 2) となりますから,
DH=|−1249|√62+32+22=127
補足
上の解答のようにして s と t を求めておいたのち,→DH の大きさを求める際には次のようにしてもよいでしょう:
|→DH|2=→DH⋅→DH=→DH⋅(→DA+3149→AB+4149→AC)=→DH⋅→DA (∵→DH⊥→AB, →DH⊥→AC)=−1249(6, 3, 2)⋅(0, −2, −3)=12249∴|→DH|=127
この →DH の一方だけを残して計算するという方法は,ベクトルの成分が与えられていない場合に極めて有効です.

3∘ 正射影ベクトルの利用

→(AB と →(AC の双方に垂直なベクトルの 1 つとして
→(n=(6, 3, 2) がとれます.実際,
→AB⋅→(n=(−1, 2, 0)⋅(6, 3, 2)=−6+6+0=0→AC⋅→(n=(−1, 0, 3)⋅(6, 3, 2)=−6+0+6=0
です.→(DH は(例えば) →(DA の →(n への正射影ベクトルですから,