高校数学[総目次]
数学Ⅰ 第2章 三角比
スライド | ノート | |
1. 正接,正弦,余弦 | [無料] | |
2. 三角比の相互関係 | [無料] | |
3. 三角比の拡張 | [会員] | |
4. 正弦定理 | [会員] | |
5. 余弦定理 | [会員] | |
6. 三角形の面積 | [会員] |

4.正弦定理
このノートでは,△ABCにおいて下図のように,$\angle{\rm A}$,$\angle{\rm B}$,$\angle{\rm C}$ の大きさをそれぞれ $A,\ B,\ C$ (斜体)で表し,頂点A,B,Cの対辺BC,CA,ABをそれぞれ $a,b,c$ (小文字の斜体)で表すものとする.

4.1 辺の長さと正弦
(正弦定理を導くための) 予備定理(ではあるが重要)
△ABCの外接円の半径を $R$ とすると,
\[\begin{align*}
a&=2R\sin A,\\[5pt]
b&=2R\sin B,\\[5pt]
c&=2R\sin C
\end{align*}\]

証明の流れ
① 直径をとる.
↓
② 円周角の定理を用いて角を移動.
↓
③ 直角三角形で考える.
証明
1° A < 90° のとき


$\angle A$が鋭角のとき
直径CDをとると,円周角の定理 により
\[\angle{\rm A}=\angle{\rm D},\ \angle{\rm DBC}=90^\circ\]
従って,
\[\begin{gather*}
{\rm BC}={\rm DC}\sin D\\[5pt]
\therefore a=2R\sin A
\end{gather*}\]
2° A = 90° のとき

${\rm BC}=2R,\ \sin A=\sin 90^\circ=1$ であるから,
\[a=2R\sin A\]
3° A > 90° のとき

四角形ABDCは円に内接する から,$A+D=180^\circ$.よって $D=180^\circ-A$.
$A>90^\circ$ より $D<90^\circ$ であるから,1°により $a=2R\sin D$.
ここで,$\sin D=\sin(180^\circ-A)=\sin A$ であるから,$a=2R\sin A$.
以上により,$a=2R\sin A$ が示された.
他の2つの式も同様に示される.
■
補足
\[\begin{align*} a:b:c&=2R\sin A:2R\sin B:2R\sin C\\[5pt] &=\sin A:\sin B:\sin C \end{align*}\]
従って,三角形の辺の比は,対応する角の正弦の比に等しい.
重要な比例式
\[a:b:c=\sin A:\sin B:\sin C\]
注意
$a:b:c=\angle {\rm A}:\angle {\rm B}:\angle {\rm C}$ ではない.

4.2 正弦定理
\[\begin{align*}
\frac a{\sin A}&=2R\\[5pt]
\frac b{\sin B}&=2R\\[5pt]
\frac c{\sin C}&=2R
\end{align*}\]
と変形できるから,正弦定理と呼ばれる次の関係が成り立つ:
正弦定理
△ABCの外接円の半径を $R$ とすると,
\[\frac a{\sin A}=\frac b{\sin B}=\frac c{\sin C}=2R\]

こたえ

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演習問題
※以下の問題では,△ABCにおいて下図のように∠A,∠B,∠Cをそれぞれ $A,B,C$ (斜体)で表し,辺BC,CA,ABをそれぞれ $a,b,c$ (小文字の斜体)で表すものとする.

(1) ヒント
△ABCにおいて,$a=\sqrt 2,b=1, A=135^\circ$ のとき,$C$ を求めよ.
(2) ヒント
△ABCにおいて,$\sin A:\sin B:\sin C=5:7:8$ のとき,$a:b:c$ を求めよ.
(3) ヒント
△ABCにおいて,$A:B:C=1:2:3$ のとき,$A,B,C$ 及び $a:b:c$ を求めよ.
(4) ヒント
△ABCにおいて,次の関係が成り立つとき,△ABCはどのような形の三角形か.\[a\sin A=b\sin B\]
解答
(1) ヒント
△ABCにおいて,$a=5\sqrt 2,b=5, A=135^\circ$ のとき,$C$ を求めよ.
正弦定理により
\[\frac{5\sqrt2}{\sin135^\circ}=\frac5{\sin B}\]
よって