1.余弦定理

 △ABCにおいて,次の余弦定理と呼ばれる関係が成り立つ:

余弦定理
\[\begin{align*} a^2&=b^2+c^2-2bc\cos A\\[5pt] b^2&=c^2+a^2-2ca\cos B\\[5pt] c^2&=a^2+b^2-2ab\cos C \end{align*}\]

証明

 $a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$ を示す.

1° $A$ が鋭角のとき

$B$ が鋭角のとき
$B$ が鈍角のとき

 Cから辺ABまたはその延長上に垂線CHを引く.$B$ が鋭角,または鈍角のときは,△CBHにおいて三平方の定理により, \[{\rm CB}^2={\rm BH}^2+{\rm CH}^2\] \[\therefore a^2=|c-b\cos A|^2+(b\sin A)^2\] が成り立つが,この式は,$B$ が直角の場合も $c-b\cos A=0$ であるから含まれる.この式の右辺は \[\begin{align*} &(c^2-2bc\cos A+b^2\cos^2A)+b^2\sin^2A\\[5pt] =&b^2(\sin^2A+\cos^2A)+c^2-2bc\cos A\\[5pt] =&b^2+c^2-2bc\cos A \end{align*}\] となるから, \[a^2=b^2+c^2-2bc\cos A\] が成り立つ.

2° $A$ が直角のとき

 $\cos A=\cos90^\circ=0$ であるから, \[a^2=b^2+c^2-2bc\cos90^\circ\] すなわち \[a^2=b^2+c^2\] を示せばよいが,三平方の定理によりこれは成り立つ.

3° $A$ が鈍角のとき

 Cから辺ABの延長上に垂線CHを引く. \[\begin{align*} {\rm AH}&={\rm CA}\cos(180^\circ-A)\\[5pt] &=-{\rm CA}\cos A=-b\cos A\\[5pt] {\rm CH}&={\rm CA}\sin(180^\circ-A)\\[5pt] &=b\sin A \end{align*}\]  従って,△CBHにおいて三平方の定理により, \[{\rm CB}^2={\rm BH}^2+{\rm CH}^2\] \[\begin{align*} \therefore a^2&=\{c+(-b\cos A)\}^2+(b\sin A)^2\\[5pt] &=(c-b\cos A)^2+(b\sin A)^2 \end{align*}\]  この式は $A$ が鋭角のときと同じ式であるから, \[a^2=b^2+c^2-2bc\cos A\] が成り立つ.

 以上により,$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$ が示された.他の2式も同様に示される.

 $b=2,\ c=3,\ A=60^\circ$ のとき,$a$ を求めよ.

 余弦定理により, \[a^2=2^2+3^2-2\cdot2\cdot3\cos60^\circ=7\]  $a > 0$ であるから,$a=\boldsymbol{\sqrt7}$

2.余弦定理その2

 余弦定理の3つの式を cos について解くと,次の式が得られる:

余弦定理その2 \[\begin{align*} \cos A&=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\\[5pt] \cos B&=\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca}\\[5pt] \cos C&=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \end{align*}\]

 △ABCにおいて,$a=5$,$b=7$,$c=3$ のとき,$B$ の大きさを求めよ.

 余弦定理により, \[\cos B=\frac{3^2+5^2-7^2}{2\cdot3\cdot5}=-\frac12\]  $0^\circ < B < 180^\circ$ であるから,$B=\boldsymbol{120^\circ}$.

3.角の大小

中学校の復習
 $a^2=b^2+c^2$
 $\iff$ △ABCは辺BCを斜辺($\angle{\rm A}=90^\circ$)とする直角三角形

 つまり,$a^2\neq b^2+c^2$ のとき,$\angle{\rm A}\neq90^\circ$ である.
 それでは $a^2\neq b^2+c^2$ のとき,$\angle{\rm A} < 90^\circ$?,$\angle{\rm A} > 90^\circ$?

 余弦定理 $\cos A=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$ において,(分母)$ > 0$ であるから,

$\cos A$ と $b^2+c^2-a^2$ の符号は一致

する.

1° $b^2+c^2-a^2 > 0\ (\iff b^2+c^2 > a^2)$ のとき,

\[\cos A > 0\ \therefore A < 90^\circ\]

2° $b^2+c^2-a^2 < 0\ (\iff b^2+c^2 < a^2)$ のとき,

\[\cos A < 0\ \therefore A > 90^\circ\]

まとめ \[\begin{align*} b^2+c^2 > a^2&\iff A < 90^\circ\\[5pt] b^2+c^2 < a^2&\iff A > 90^\circ \end{align*}\]

 △ABCにおいて,$\sin A:\sin B:\sin C=5:7:3$ のとき,△ABCは鋭角三角形,直角三角形,鈍角三角形のどれか.

 正弦定理により, \[\begin{align*} a:b:c&=\sin A:\sin B:\sin C\\[5pt] &=5:7:3 \end{align*}\]  よって,$a=5k,\ b=7k,\ c=3k$ ($k$ は正の定数) とおけるから,最大の角は $B$ である.
\[(3k)^2+(5k)^2 < (7k)^2\] であるから,$B$ は鈍角.従って△ABCは鈍角三角形