高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第2章 微分法
スライド | ノート | 問題 | |
1. 微分係数と導関数 | [無料] | ||
2. 合成関数の導関数 | [無料] | ||
3. 逆関数の微分法 | [無料] | ||
4. 三角関数の導関数 | |||
5. 対数関数・指数関数の導関数 | |||
6. 媒介変数表示と導関数 | |||
7. 陰関数の導関数 | |||
8. 平均値の定理 | |||
9. 関数の値の変化 | |||
10. 関数の極大・極小 | |||
11. 関数のグラフ |

演習問題
問題1【標準】
p<q は実数の定数で, 0<p<1, q>0 を満たすとする.関数f(x)=(1−p)x+(1−x)(1−e−qx)を考える.p<q であるとき,c=f(c),0<c<1 を満たす実数 c が存在することを示せ.
問題2【標準】
a を実数とし,x>0 で定義された関数 f(x),g(x) を次のように定める.f(x)=cosxx, g(x)=sinx+ax このとき y=f(x) のグラフと y=g(x) のグラフが x>0 において共有点をちょうど3つもつような a をすべて求めよ.
(東京大)

東京大学(2014)の過去問で,原題は(1)~(3)までありましたが,これはその(3)です.
解答
g(x)=f(x)−x とおくと,
g(0)=(1−p)⋅0+(1−0)(1−e0)−0=0g(1)=(1−p)⋅1+(1−1)(1−e−q)−1=−p<0
また
g′(x)=1−p−(1−e−qx)+(1−x)⋅qe−qx−1=−p−1+(1+q−qx)e−qx
から g′(0)=−p−1+1+q=q−p>0
よって g′(x) の連続性により,x=0 を含むある区間 I で,その I 内において常に g′(x)>0 となるものが存在する.従って区間 I で g(x) は単調に増加するから,g(0)=0 とあわせて考えると,ある α (0<α<1) で g(α)>0 となるものが存在する.

故に g(x) の連続性により,g(c)=0,0<c<1 となる c が存在する(中間値の定理 ).そしてこのとき c=f(c) である.
f(x) の形がゴツい上に,最後の(3)だったので,東大の入試会場では焦ってパスした受験生もきっと多かったでしょうが,こうやって冷静に取り組んでみると,教科書の基本事項だけしか用いていません.
f(x) と g(x) をそのまま相手にするのではないというのは関数の形からすぐにわかるところです.ではどんな同値な言い換えをして考えていくのでしょうか.それはいわゆる「文字定数の分離」です.受験数学においては定番のテクニックです.
解答
f(x)=g(x) より cosxx=sinx+ax
整理して,
cosx−xsinxx2=a ポイント
文字定数 a だけを右辺に分離しました.こういった手法を文字定数の分離といいます.
この左辺を h(x) (x>0) とおくと,
h′(x)=0 のとき,cosx=0 ∴x=2n−12π (n=1, 2, ⋯)
従って,①<0 に注意すると,増減表は次のようになる.

ここで極値の絶対値を計算すると,
となるから,k が大きくなるにつれて単調に減少する.また,limx→+0h(x)=∞,limx→∞h(x)=0 となるから,h(x) のグラフの概形は次のようになる.

題意は曲線 y=h(x) と直線 y=a が異なる3つの共有点をもつような a の値の範囲を求めることと同値であるから,
a=−25π, 27π<a<23π