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高校数学[総目次]

数学Ⅲ 第3章 積分法

  スライド ノート 問題
1. 不定積分 [無料]    
2. 置換積分法(不定積分) [無料]    
3. 部分積分法(不定積分) [無料]    
4. 定積分とその性質      
5. 置換積分法(定積分)      
6. 部分積分法(定積分)      
7. 定積分と微分法      
8. 定積分と和の極限      
9. 定積分と不等式      
10. 定積分の応用(面積)      
11. 定積分の応用(体積)      
12. 定積分の応用(回転体の体積)      
13. 曲線の長さ      

12.定積分の応用(回転体の体積)

12.1 回転体の体積

 立体の体積を積分で求めるには,ある方向に切り口を定め,その切り口における断面積を求めて,あとはその断面と垂直な方向に積分すればよかった(定積分の応用(体積) 参照).

 このとき難しいのは,どういった切り口を考えるかであって,切り方によっては計算の難易度が劇的に変化する場合も多い.非回転体の求積が難問化しやすい訳はここにある.

 それに対して回転体の求積はそういった試行錯誤が必要ない.

 いつも切る方向は決まっていて,回転軸に対して垂直な平面で切断するのが定石である.

 何故ならこのような切り方で現れる切り口はいつでも円形かドーナツ型をしているので,断面積の計算がとてもやさしくなるからだ.

 曲線 $y=f(x)$ と $x$ 軸,及び2直線 $x=a$,$x=b$ $(a < b)$ で囲まれた部分を $x$ 軸のまわりに1回転させてできる回転体の体積を $V$ とする.

 この立体を $x$ 軸と垂直な平面で切ってできる切り口は,半径 $|y|\ (=|f(x)|)$ の円であるから,切り口の面積は,

\[\pi y^2\ (=\pi\{f(x)\}^2)\]

である.従って,次が成り立つ:

回転体の体積

\[V=\pi\int_a^b\!\!y^2\,dx=\pi\int_a^b\!\!\{f(x)\}^2\,dx\]

例題 半径 $r$ の球の体積 $V$ を求めよ.

こたえ



 解答例を表示する


12.2 2曲線の間の領域の回転体

 関数 $f(x),\ g(x)$ が区間 $[a,b]$ で常に $f(x)\geqq g(x)\geqq0$ であるとする.

 このとき,2曲線 $y=f(x),\ y=g(x)$,及び 2直線 $x=a,\ x=b$ で囲まれた部分を $x$ 軸のまわりに1回転して得られる回転体の体積 $V$ は,次で求められる.

\[\begin{align*}
V&=\pi\int_a^b\!\!\{f(x)\}^2\,dx-\pi\int_a^b\!\!\{g(x)\}^2\,dx\\[5pt]
&=\pi\int_a^b\!\!(f^2-g^2)\,dx\\[5pt]
& (f,\,g\ \mbox{のあとの「} \,(x)\, \mbox{」を省略した.})
\end{align*}\]

2曲線で囲まれる回転体の体積

\[V=\pi\int_a^b\!\!(f^2-g^2)\,dx\]

注意

 $V=\pi\displaystyle\int_a^b\!\!(f-g)^2\,dx$ ではない!!

例題 円 $x^2+(y-2)^2=1$ の $x$ 軸まわりの回転体の体積 $V$ を求めよ.

こたえ

 $x^2+(y-2)^2=1$ を $y$ について解くと,
\[y=\left\{\begin{array}{ll}
2+\sqrt{1-x^2}&(\mbox{円の上半分})\ \cdots\mbox{①}\\[5pt]
2-\sqrt{1-x^2}&(\mbox{円の下半分})\ \cdots\mbox{②}
\end{array}\right.\]
 ①$\geqq$②$\geqq 0$ であるから,
\[\begin{align*}
V&=\pi\int_{-1}^1\!\!\left(\mbox{①}^2-\mbox{②}^2\right)\,dx\\[5pt]
&=8\pi\int_{-1}^1\!\!\sqrt{1-x^2}\,dx\\[5pt]
&=8\pi\times\frac\pi2\\[5pt]
&=\underline{\boldsymbol{4\pi^2}}
\end{align*}\]

補足

 $\displaystyle\int_{-1}^1\!\sqrt{1-x^2}\,dx=\frac\pi2$ の部分は積分を実行するのではなく,直ちに $\dfrac\pi2$ と答えたい.詳しくは こちら を参照.

12.3 領域が回転軸をまたぐ場合