高校数学[総目次]
高校数学ワンポイント

13.3次関数のグラフの特徴
3次関数のグラフの特徴を紹介します.最大・最小問題を考える際,しばしば極大値や極小値と同じ値をとる x の値が必要になりますが,そういった際にここで書かれたグラフの特徴を知っていると,とりわけ共通テストなどで大幅な時間短縮が図れます.
特徴1.グラフは点対称
3次関数 f(x)=ax3+bx2+cx+d について,y=f(x) のグラフを x軸方向に b3a,y 軸方向に −f(−b3a) だけ平行移動したグラフの方程式は
y+f(−b3a)=a(x−b3a)3+b(x−b3a)2+c(x−b3a)+d⋯①
です.ここで,
f(−b3a)=a(−b3a)3+b(−b3a)2+c(−b3a)+d=−b327a2+b39a2−bc3a+da(x−b3a)3=a(x3−bax2+b23a2x−b327a3)=ax3−bx2+b23ax−b327a2b(x−b3a)2=b(x2−2b3ax+b29a2)=bx2−2b23ax+b39a2c(x−b3a)=cx−bc3a
となりますから①式は,
y=ax3+(c−b23a)x
となります.この右辺を g(x) とおくと,任意の x に対して
g(−x)=−g(x)
が成り立ちますから g(x) は奇関数です.奇関数のグラフは原点に関して対称です.従って一般に3次関数のグラフについて次が成り立ちます:
対称の中心は,グラフの凸性が変化する点で,この点を変曲点といいます.詳しくは数学Ⅲ 11.関数のグラフ を参照してください.

特徴2.グラフの箱詰め
一般にグラフを平行移動しただけではそのグラフの形は変化しません.特徴1. で見たように,どんな3次関数のグラフも変曲点に関して対称であり,変曲点が原点にくるように平行移動すると,そのグラフをもつ関数は奇関数ですから,今後グラフの特徴を考察するに当たっては y=ax3+bx という形の3次関数を考えるので十分です.
さて,f(x)=ax3+bx とおき,f(x) が x=α で極値 f(α)をとるとします.f(α)=k とすると,f(x)=k となる x は,α 以外にもう1つ存在します.それを p とします:
