高校数学[総目次]
数学B 第2章 数列
スライド | ノート | 問題 | |
1. 等差数列 | [会員] | ||
2. 等比数列 | [会員] | ||
3. Σ(シグマ)と和の公式 | [会員] | ||
4. 階差数列 | [会員] | ||
5. 数列の和と一般項 | [会員] | ||
6. 差をとってできる数列の応用 | [会員] | ||
7. (等差)×(等比)の和 | [会員] | ||
8. 群数列 | [会員] | [会員] | |
9. 隣接2項間漸化式(その1) | [会員] | [会員] | |
10. 隣接2項間漸化式(その2) | [会員] | ||
11. 隣接3項間漸化式 | [会員] | [会員] |

2. 等比数列
前節の等差数列に引き続いて,等比数列と呼ばれる数列を学習する.高校数学の数列という分野において,この等差数列と等比数列が,最も基本的で重要な数列である.
2.1 等比数列とは
ある数に一定の数を次々と掛けていくことで得られる数列を等比数列という.あるいは読んで字の如く隣りどうしの「比が等しい数列」といってもよい.
等比数列とはある数に一定の数を次々と掛けていくことで得られる数列
例えば
2, 6, 18, 54, 162
という数列は,2に次々と3を掛けていくことで得られる等比数列の初項から第5項である.このとき,次々と掛けていく一定の数3をこの等比数列の公比(こうひ)という.また,となりどうしの比は常に $1:3$ になっている.従ってこの数列を指して「初項2,公比3の等比数列」という言い方をする.

2.2 等比数列の一般項
先に示した等比数列 2, 6, 18, 54, 162 の $n$ 番目の項は,$n$ を用いてどのように表されるだろうか.この数列を $\{a_n\}$ とすると
\[\begin{align*} a_1&=2\\[5pt] a_2&=a_1\times3=2\times3(=6)\\[5pt] a_3&=a_2\times3=2\times3^2(=18)\\[5pt] a_4&=a_3\times3=2\times3^3(=54)\\[5pt] a_5&=a_4\times3=2\times3^4(=162) \end{align*}\]
となっている.よって, $a_n=2\times3^{n-1}$ と表すことができるであろう.
一般に,初項 $a$,公比 $r$ の等比数列 $\{a_n\}$ について,最初のいくつかを書き出してみると次のようになっている.
\[\begin{align*} a_1&=a\ \ \ =ar^0\\[5pt] a_2&=a_1r=ar^1\\[5pt] a_3&=a_2r=ar^2\\[5pt] a_4&=a_3r=ar^3\\[5pt] &\vdots \end{align*}\]
これらはいずれも,初項 $a$ に公比の $r$ を何回か掛けたものとなっている.それは「(自分の番号)$-1$」回である.よって $n$ 番目の項は,$a\times r^{n-1}$ となるであろう.
等比数列の一般項 初項 $a$,公比 $r$ の等比数列 $\{a_n\}$ の一般項は,\[a_n=a\,r^{n-1}\]
例題 初項2,公比 $-3$ の等比数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ.
こたえ
解答例を表示する
2.3 等比数列の和
冒頭から用いている等比数列の和 2+6+18+54+162 を計算してみよう.ただし,等差数列の場合がそうであったように,ここでも計算の工夫を行うことを考えたい.
$S=2+6+18+54+162$ とする.そして次がポイントであるが,この式の両辺に
公比の3を掛ける
のである.
\[3S=3(2+6+18+54+162)\]
右辺の3を,カッコの中に分配すると
\[3S=6+18+54+162+486\]
$S$ と $3S$ の式を縦に並べて引き算をしよう.ただし,$3S$ の右辺は,上下の数字が揃うように,少し右にずらして書いておく:
\[\begin{array}{rl} S=&2+6+18+54+162\\[5pt] -)\ \ \ 3S=&\hspace{7mm}6+18+54+162+486\\[5pt] \hline -2S=&2\hspace{37mm}-486 \end{array}\]
最後の486は,上下で引き算を行った結果マイナスになっていることに注意しよう($0-486=-486$).よって,$-2S=-484$ $\therefore S=242$
これで等比数列の和が計算できた.このように知りたい和 $S$ と,$S$ に公比の3を掛けた $3S$ を作って引き算を行うと,中間部分がすべて消えて,最初と最後だけが残り,計算が容易に行えるようになったという訳である.
それでは一般のケースを確認していこう.初項 $a$,公比 $r$ の等比数列の,初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とする.すぐ上の例でみたのと同様にして,$S-rS$ を計算するのであるが,これは $S$ でくくると $(1-r)S$ となって,$S$ を求めるには $1-r$ で割らなければならない.これが0であると割ることができないので,$r$ が1でない場合と1の場合に分けて考えていく.
[1] $r\neq1$ のとき
\[\begin{array}{rl} S_n\!=\!\!\!\!\!&a\!+\!ar\!+\!ar^2\!+\!\cdots\!+\!ar^{n-1}\\[5pt] -)\ \ \ rS_n\!=\!\!\!\!\!&\hspace{6mm}ar\!+\!ar^2\!+\!\cdots\!+\!ar^{n-1}\!+\!ar^n\\[5pt] \hline (1-r)S_n\!=\!\!\!\!\!&\,a\hspace{37mm}-ar^n \end{array}\]
$1-r\neq0$ であるから,最後の式の両辺を $1-r$ で割って
\[\begin{align*} S_n&=\frac{a(1-r^n)}{1-r}\\[5pt] &=\frac{a(r^n-1)}{r-1} \end{align*}\]
[2] $r=1$ のとき
この場合というのは公比が1のときであり,各項はすべて初項と同じ $a$ である.従って $S_n$ は $a$ を $n$ 回足すことになるから
\[\begin{align*} S_n&=a+a+a+\cdots+a\\[5pt] &=na \end{align*}\]
等比数列の和の公式
初項 $a$,公比 $r$ の等比数列 $\{a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ は,
$1^\circ\ \ r\neq1$ のとき
\[\begin{align*} S_n&=\frac{a(r^n-1)}{r-1}\ \ (r>1\mbox{のとき})\\[5pt] &=\frac{a(1-r^n)}{1-r}\ \ (r<1\mbox{のとき}) \end{align*}\]
$2^\circ\ \ r=1$ のとき
\[S_n=na\]
例題 初項2,公比3の等比数列の初項から第5項までの和を求めよ.
解答例を表示する
2.4 等比数列の性質
数列 $a,\ b,\ c$ が等比数列のとき,真ん中の項 $b$ を等比中項という.例えば,等比数列2, 6, 18 において,6が等比中項である.この3つの数の間には $\dfrac62=\dfrac{18}6$ の関係があり,分母を払って
\[6^2=2\times18\]
が成り立つ.
一般に,$a,\ b,\ c$ が0でないとき, \[\begin{align*} a,\ b,\ c\ \mbox{が等比数列}&\iff \frac ba=\frac cb\\[5pt] &\iff b^2=ac \end{align*}\] 従って,次が成り立つ:
等比中項の関係式 $a,b,c$ が0でないとき,
数列 $a,b,c$ が等比数列 $\iff b^2=ac$
補足
$b>0$ ならば,$b=\sqrt{ac}$ となり,等比中項は前後2項の相乗平均となっている.

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