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高校数学[総目次]

数学Ⅱ 第6章 微分法・積分法

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1. 微分係数 [無料]  
2. 導関数 [無料]  
3. 接線 [会員]  
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5. 極大・極小 [会員]  
6. 関数のグラフと方程式・不等式 [会員]  
7. 不定積分 [無料]  
8. 定積分 [会員]  
9. 様々な定積分 [会員]  
10. 面積 [会員]  

9. 様々な定積分

この節には,一部数学Ⅲの内容が含まれます.

9.1 重要な定積分

重要な定積分\[\int_\alpha^\beta\!\!(x\!-\!\alpha)(x\!-\!\beta)dx\!=\!-\frac16(\beta\!-\!\alpha)^3\]

証明

\[\begin{align*} &\int_\alpha^\beta(x-\alpha)(x-\beta)\,dx\\[5pt] =&\int_\alpha^\beta (x-\alpha)\{(x-\alpha)-(\beta-\alpha)\}\,dx\\[5pt] =&\int_\alpha^\beta \left\{(x-\alpha)^2-(\beta-\alpha)(x-\alpha)\right\}\,dx\\[5pt] =&\left[\frac{(x-\alpha)^3}3-(\beta-\alpha)\cdot\frac{(x-\alpha)^2}2\right]_\alpha^\beta\ \ (\cdots\mbox{☆})\\[5pt] =&\frac{(\beta-\alpha)^3}3-\frac{(\beta-\alpha)^3}2\\[5pt] =&-\frac16(\beta-\alpha)^3 \end{align*}\]

注意

 (☆) のところで,数学Ⅲ 2.置換積分法(不定積分)に出てくる積分の公式

\[\int(x+a)^n\,dx=\frac1{n+1}(x+a)^{n+1}+C\]

を利用した.(ただし $C$ は積分定数)
 この公式は数学Ⅱの範囲でも使える場面が案外多い.

補足

① 2次関数 $f(x)$ が,$f(x)=(x-\alpha)(x-\beta)$ と因数分解でき,しかも $\alpha$ と $\beta$ が積分区間の両端にくるときに, \[\int_\alpha^\beta f(x)\,dx=-\frac16(\beta-\alpha)^3\] とできるのである.

② $\beta-\alpha$ は解と係数の関係により, \[|\beta-\alpha|=\sqrt{(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta}\] から計算するとラクな場合がある.

③ \[\begin{align*} \int_\alpha^\beta f(x)\,dx&=\underline{\int_\alpha^\beta(x-\alpha)(x-\beta)\,dx}\\[5pt] &=-\frac16(\beta-\alpha)^3 \end{align*}\] と因数分解した  の形,即ち公式の左辺の形を書いておくのが無難.

例1

\[\begin{align*} \int_{-1}^2(x^2-x-2)\,dx&=\int_{-1}^2(x+1)(x-2)\,dx\\[5pt] &=-\frac16\{2-(-1)\}^3\\[5pt] &=\underline{\boldsymbol{-\frac92}} \end{align*}\]

例2

 $2x^2-6x+1=0$ の2解を $\alpha,\beta$ $(\alpha <\beta)$ とおくと, \[\begin{align*} \int_\alpha^\beta (2x^2-6x+1)\,dx&=2\int_\alpha^\beta (x-\alpha)(x-\beta)\,dx\\[5pt] &=2\cdot\left\{-\frac16(\beta-\alpha)^3\right\}\\[5pt] &=-\frac13(\beta-\alpha)^3\ \ \cdots\mbox{①}\\[5pt] \end{align*}\]  ここで解と係数の関係により, \[\alpha+\beta=3,\ \alpha\beta=\frac12\]  $\alpha <\beta$ より $\beta-\alpha>0$ であるから, \[\therefore \beta-\alpha=\sqrt{(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta}=\sqrt7\]  よって,①$=\underline{\boldsymbol{-\dfrac{7\sqrt7}3}}$

9.2 奇関数と偶関数の定積分

 奇関数と偶関数の定積分は数学Ⅲの内容であるが,結果だけでも知っておくと,計算を大幅に省力化できる.

奇関数

 任意の $x$ に対して, \[f(-x)=-f(x)\] が成り立つ関数.グラフは原点対称(点対称).

 $x,x^3,x^5,\sin x,\tan x$

偶関数

 任意の $x$ に対して, \[f(-x)=f(x)\] が成り立つ関数.グラフは $y$ 軸対称(線対称) .

 $x^2,x^4,5$(定数関数)$,\cos x$

 奇関数と偶関数の定積分について,積分区間の両端の絶対値が等しく,かつ異符号であるとき,次が成り立つ:

奇関数と偶関数の定積分\begin{align*} &f(x)\mbox{が奇関数のとき},\ \int_{-a}^a\!\!f(x)\,dx=0\\ &f(x)\mbox{が偶関数のとき},\ \int_{-a}^a\!\!f(x)\,dx=2\!\int_0^a\!\!f(x)\,dx \end{align*}

略証

(詳しくは,数学Ⅲの 5. 置換積分法(定積分) を参照.)

\[\begin{align*} \int_{-a}^a f(x)\,dx&=\underline{\int_{-a}^0 f(x)\,dx}+\int_0^a f(x)\,dx\ \ (\gets\mbox{性質}[5])\\[5pt] &=\underline{\int_0^a f(-x)\,dx}+\int_0^a f(x)\,dx \end{align*}\]  (下線部の変形で数学Ⅲに出てくる置換積分法を用いた.)

 $f(x)$ が奇関数 → (下線部)$\displaystyle=-\int_0^af(x)\,dx$
 $f(x)$ が偶関数 → (下線部)$\displaystyle=\int_0^af(x)\,dx$

補足

① 定数倍しても,関数の偶奇は変わらない.
   $4x$ は奇関数

② 偶奇が同じ関数どうしの和,差も偶奇は不変.
  例 $2x^3-5x$ は奇関数

③ (あ) (奇関数)×(奇関数)→(偶関数)
  (い) (偶関数)×(偶関数)→(偶関数)
  (う) (奇関数)×(偶関数)→(奇関数)
   (あ) $x\times x^3=x^4$
    (い) $x^2\times x^4=x^6$
    (う) $x\times x^2=x^3$

\[\begin{align*} &\int_{-3}^3(x^3+3x^2-6x-1)\,dx\\[5pt] =&\int_{-3}^3(x^3-6x)\,dx+\int_{-3}^3(3x^2-1)\,dx\\[5pt] =&2\int_0^3(3x^2-1)\,dx\\[5pt] =&2\Bigl[x^3-x\Bigr]_0^3\\[5pt] =&\underline{\boldsymbol{48}} \end{align*}\]

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