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高校数学[総目次]

数学B 第2章 数列

  スライド ノート 問題
1. 等差数列      
2. 等比数列      
3. Σ(シグマ)と和の公式      
4. 階差数列      
5. 数列の和と一般項      
6. 差をとってできる数列の応用      
7. (等差)×(等比)の和      
8. 群数列      
9. 隣接2項間漸化式(その1)      
10. 隣接2項間漸化式(その2)      
11. 隣接3項間漸化式      

1. 等差数列

1.0 数列とは

 数が並んだものを数列という.とにかく数が並んでさえいれば何でも数列といえるのであるが,ここではその列に一定の規則があるものだけを対象とする.例えば,

2, 4, 6, □, 10, 12, …

という数の並びを前にしたとき,私たちはほとんど無意識のうちに,□の位置に8が収まるべきであることを直感するだろう.こうした単純な規則性に始まり,やがてはより複雑な構造をもつ数列へと思考は進んでいく.

 高校数学の世界では,まず最も基本的な2つの数列に出会うことになる.それが,今まさに論じようとする等差数列,そして次に控える等比数列である.では,まずは等差数列の扉を開けてみることにしよう.

1.1 等差数列とは

 ある数に一定の数を次々と加えていくことで得られる数列を等差数列という.あるいは読んで字の如く隣りどうしの「差が等しい数列」が等差数列である.

等差数列とはある数に一定の数を次々と加えていくことで得られる数列

例えば,

2, 5, 8, 11, 14

という数列は,2から始めて一定の間隔,すなわち3という数値を,1つずつ加え続けていく.その結果として現れるのがこの数列である.あるいは隣り合う任意の2数の差が,常に等しく3となる数列である.従ってこの数列は等差数列であるということができる.

 ここで数列の基本用語を確認しておく.

 上の例では5つの数が並んでいるが,これら1つ1つの数を数列の(こう)という.先頭から順に第1項,第2項,第3項,…という.

 特に第1項を初項(しょこう),最後の項を末項(まっこう)という.

 また,この数列では次々と3が加えられているが,この次々と加えていく一定の数を公差(こうさ)という.

 従ってこの数列は「初項2,公差3の等差数列」という言い方をする.

補足

 数列には,しばしば「$a$」や「$b$」といった記号が与えられ,その個々の要素は添え字を用いて区別される.
 例えば,$a_1=2$,$a_2=5$ 等々.数列そのものを示す際には,$\{a_n\}$ のように中カッコ{ } で包み込むことが慣例となっている.
 数列とは順序付けされた数の集合であり,集合は中カッコを用いて表してきたのだから,ここでもそれに倣っていると理解しておけばよいであろう.

  $\ \ \ \ a_n=2,5,8,11,14$
  $\{a_n\}=\{2,5,8,11,14\}$

1.2 等差数列の一般項

 先に見た数列 2, 5, 8, 11, 14 は,第 $n$ 項を $3n-1$ と書き表すことができる.
 このように,第 $n$ 項を $n$ の式で表したものを,その数列の一般項という.
 この数列の場合「一般項は $3n-1$ である」という言い方ができる.

一般項とは数列の第 $n$ 項を,$n$ で表した式のこと

 初項 $a$,公差 $d$ である等差数列 $\{a_n\}$ について,一般項を考えてみよう.

 初項からいくつか書き出すと,

\[\begin{align*}
a_1&=a\hspace{9mm}=a+0d\\[5pt]
a_2&=a_1+d=a+1d\\[5pt]
a_3&=a_2+d=a+2d\\[5pt]
a_4&=a_2+d=a+3d\\[5pt]
&\vdots
\end{align*}\]

 ここまでの例で十分に等差数列の一般項が予測できる.

 どの項も初項 $a$ に,$d$ の何倍かが加えられている.
 その数とは

(自分の番号)$-1$

である.

 従って初項 $a$,公差 $d$ の等差数列の一般項は次のようになる:

等差数列の一般項 初項 $a$,公差 $d$ の等差数列 $\{a_n\}$ の一般項は,\[a_n=a+(n-1)d\]

 初項2,公差3の等差数列$\{a_n\}$ の一般項は,

\[a_n=2+(n-1)\times3\]

\[ \therefore\ \ a_n=3n-1\]

1.3 等差数列の和

 先ほどから用いている等差数列 2, 5, 8, 11, 14の和を計算すると

\[2+5+8+11+14=40\]

となる.

 問題はこれをどう計算したかである.

 2+5=7,7+8=15,15+11=26,26+14=40という風に前から順に計算してももちろん求まる.しかしここでは計算の工夫をしておきたい.

 求めたい和を $S$ とすると,

\[S=2+5+8+11+14\]

であるが,これを逆順に

\[S=14+11+8+5+2\]

と書いてもよかろう.足し算なのだから計算の順序は自由である.

 この2つの式を縦に並べて,上下2つずつ足し算を行うと次のようになる:

 するとどうだろう.右辺には16ばかりが,5度も登場しているではないか.そして

5=(項数),16=(初項)+(末項)

となっていることにも注意しておこう.

 このように,足す順序を逆転させたのち,上下に2つずつ足すことで,求めたい和 $S$ の2倍が簡単に計算できるのである.あとの計算は次の通り.

\[2S=16\times5\]

\[\therefore\ \ S=40\]

 一般の場合もこのように計算することで,等差数列の和の公式を作ることができる.

 初項 $a$,公差 $d$ である等差数列の,初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とする.また,第 $n$ 項を $l$ とする.