スライド ノート 問題
1. 等差数列 [無料]    
2. 等比数列 [無料]    
3. Σ(シグマ)と和の公式 [無料]    
4. 階差数列 [会員]    
5. 数列の和と一般項 [会員]    
6. 差をとってできる数列の応用 [会員]    
7. (等差)×(等比)の和 [会員]    
8. 群数列 [会員]   [会員]
9. 隣接2項間漸化式(その1) [会員]   [会員]
10. 隣接2項間漸化式(その2) [会員]    
11. 隣接3項間漸化式 [会員]   [会員]

演習問題

問題1【発展】
 2つの関数を$f_0(x)=\dfrac x2,\ f_1(x)=\dfrac{x+1}2$ とおく.$x_0=\dfrac12$ から始め,各 $n=1,\ 2,\ \cdots$ について,それぞれ確率 $\dfrac12$ で,$x_n=f_0(x_{n-1})$ または $x_n=f_1(x_{n-1})$ と定める.
 このとき,$x_n<\dfrac23$ となる確率 $P_n$ を求めよ.

(京都大)

問題1【発展】

 2つの関数を$f_0(x)=\dfrac x2,\ f_1(x)=\dfrac{x+1}2$ とおく.$x_0=\dfrac12$ から始め,各 $n=1,\ 2,\ \cdots$ について,それぞれ確率 $\dfrac12$ で,$x_n=f_0(x_{n-1})$ または $x_n=f_1(x_{n-1})$ と定める.
 このとき,$x_n<\dfrac23$ となる確率 $P_n$ を求めよ.

(京都大)

 漸化式の基本的な考え方は

最初か最後で場合分け

です.この問題では最後で場合分けするのが良いでしょう.本問を考えやすくするポイントは,グラフによる視覚化です.

 $x_n=f_0(x_{n-1})$ から $x_n$ が決まるときは,確率1で $x_n<\dfrac23$ となり,$x_n=f_1(x_n-1)$ から $x_n$ が決まるときは,$x_{n-1}<\dfrac13$ であれば $x_n<\dfrac23$ となります.となれば,漸化式を作るのにどうしても $x_n<\dfrac13$ となる確率が欲しくなります.

解答

 $P_0=1$ であり,$x_n<\dfrac13$ となる確率を $Q_n$ とおくと,$Q_0=0$ である.

 上のグラフから,$x_n<\dfrac13$ であれば,$x_{n+1}$ は $f_0(x)$ から決まろうと $f_1(x)$ から決まろうと必ず(すなわち確率1で) $x_{n+1}<\dfrac23$ となる.一方,$x_n\geqq\dfrac13$ であれば,$x_{n+1}$ は $f_0(x)$ から決まる場合においてのみ $x_{n+1}<\dfrac23$ となる.$f_0(x)$ と $f_1(x)$ のどちらが選ばれるかは確率 $\dfrac12$ であるから

\[P_{n+1}=Q_n\cdot1+(1-Q_n)\cdot\dfrac12\]

$\therefore P_{n+1}=\dfrac12Q_n+\dfrac12$ …①

また,$x_{n+1}<\dfrac13$ となるのは,$x_n<\dfrac23$ かつ $f_0(x)$ が選ばれる場合のみであるから

$Q_{n+1}=\dfrac 12P_n$ …②

 ①+② 及び ①-② より

\[\begin{array}{ll} P_{n+1}+Q_{n+1}=\hspace{3mm}\dfrac12(P_n+Q_n)+\dfrac12 & \cdots\mbox{③}\\[5pt] P_{n+1}-Q_{n+1}=-\dfrac12(P_n-Q_n)+\dfrac12 & \cdots\mbox{④} \end{array}\]

ここで③において,数列 $\{P_n+Q_n\}$ を1つの数列とみて特性方程式 $x=\dfrac12x+\dfrac12$ を解くと,$x=1$.

 ③を変形して $P_{n+1}+Q_{n+1}-1=\dfrac12(P_n+Q_n-1)$

 よって数列 $\{P_n+Q_n-1\}$ は初項$P_0+Q_0-1=1+0-1=0$,項比 $\dfrac12$ の等比数列であるから

\[P_n+Q_n-1=0\]

$\therefore P_n+Q_n=1$ …⑤

次に④において,数列 $\{P_n-Q_n\}$ を1つの数列とみて特性方程式 $x=-\dfrac12x+\dfrac12$ を解くと,$x=\dfrac13$.

 ④を変形して $P_{n+1}-Q_{n+1}-\dfrac13=\dfrac12\left(P_n+Q_n-\dfrac13\right)$

 よって数列 $\left\{P_n-Q_n-\dfrac13\right\}$ は初項$P_0-Q_0-\dfrac13=1-0-\dfrac13=\dfrac23$,項比 $-\dfrac12$ の等比数列であるから

\[P_n-Q_n-\dfrac13=\dfrac23\left(-\dfrac12\right)^n\]

$\therefore P_n-Q_n=\dfrac23\left(-\dfrac12\right)^n+\dfrac13$ …⑥

(⑤+⑥)÷2より

\[\boldsymbol{P_n=\dfrac13\left(-\dfrac12\right)^n+\dfrac23}\]