高校数学[総目次]

数学B 第2章 数列

  スライド ノート 問題
1. 等差数列 [無料]    
2. 等比数列 [無料]    
3. Σ(シグマ)と和の公式 [無料]    
4. 階差数列 [会員]    
5. 数列の和と一般項 [会員]    
6. 差をとってできる数列の応用 [会員]    
7. (等差)×(等比)の和 [会員]    
8. 群数列 [会員]   [会員]
9. 隣接2項間漸化式(その1) [会員]   [会員]
10. 隣接2項間漸化式(その2) [会員]    
11. 隣接3項間漸化式 [会員]   [会員]

演習問題

問題1【発展】
 $k$ を自然数, $0<\alpha<1$ とする.表が出る確率が $\alpha$,裏の出る確率が $1-\alpha$ のコインを投げて,最初,数直線の原点にあった点Pの位置を,表が出たら2だけ,裏が出たら1だけ右に進める.以降,移動した位置でコインを投げてこの操作を繰り返す.$n$ を自然数として,コインを $n$ 回投げるとき,1回目から $n$ 回目までのどこかで点Pの座標が $n$ となる確率を $p_n$ とおく.
(1) $p_1,\ p_2$ を求めよ.
(2) $n\geqq1$ に対して,$p_n$ を $n$ と $\alpha$ で表せ.

(大阪市立大・改題)

問題1【発展】

 $k$ を自然数, $0<\alpha<1$ とする.表が出る確率が $\alpha$,裏の出る確率が $1-\alpha$ のコインを投げて,最初,数直線の原点にあった点Pの位置を,表が出たら2だけ,裏が出たら1だけ右に進める.以降,移動した位置でコインを投げてこの操作を繰り返す.$n$ を自然数として,コインを $n$ 回投げるとき,1回目から $n$ 回目までのどこかで点Pの座標が $n$ となる確率を $p_n$ とおく.
(1) $p_1,\ p_2$ を求めよ.
(2) $n\geqq1$ に対して,$p_n$ を $n$ と $\alpha$ で表せ.

(大阪市立大・改題)

 大阪市立大(2021)の問題です.
 漸化式の基本的な考え方は

最初か最後で場合分け

です.この問題では最初で場合分けするのが良いでしょう.また本問では $p_n$ の定義にも注意しましょう.「コインを $n$ 回投げるとき,1回目から $n$ 回目までのどこかで点Pの座標が $n$ となる確率」が $p_n$ です.

解答

(1) $p_1:$ 1回目に裏が出ればよいから $p_1=1-\alpha$

 $p_2:$ 「1回目に表が出る」または「2回とも裏が出る」のいずれかであればよい.これら2つの事象は排反だから $p_2=\alpha+(1-\alpha)^2=\alpha^2-\alpha+1$

(2) $p_{n+2}$ を考えるのに,1回目が裏か表で場合分けをする.$p_{n+2}$ というのは「コインを $n+2$ 回投げるとき,1回目から $n+2$ 回目までのどこかで点Pの座標が $n+2$ となる確率」である.

1° 1回目が裏のとき

 1回目に裏が出て数直線上の1に進む.ここを新たな出発点として,残りの $n+1$ 回の操作のうちで,$n+1$ だけ右に進めばよいからその確率は $p_{n+1}$ である.

2° 1回目が表のとき

 1回目に表が出て数直線上の2に進む.ここを新たな出発点として,残りの $n+1$ 回の操作のうちで,$n$ だけ右に進めば $n+2$ に到達するが,1回の操作で少なくとも1は右に進むのだから,結局 $n$ 回のうちで $n$ だけ右に進めば $n+2$ に到達する.従ってその確率は $p_n$ である.

 1°,2°から

\[p_{n+2}=(1-\alpha)p_{n+1}+\alpha p_n\]

という漸化式が得られる.

ここで特性方程式 $x^2+(\alpha-1)x-\alpha=0$ を解くと,$(x+\alpha)(x-1)=0$ より $x=-\alpha,\ 1$.

 漸化式を2通りに変形して

\[\left\{\begin{array}{ll} p_{n+2}+\alpha\, p_{n+1}=p_{n+1}+\alpha\, p_n&\cdots\mbox{①}\\[5pt] p_{n+2}-p_{n+1}=-\alpha(p_{n+1}-p_n)&\cdots\mbox{②} \end{array}\right.\]

 ①より,数列 $\{p_n+\alpha\, p_{n-1}\}$ は定数数列であるから

\[\begin{align*} p_n+\alpha\, p_{n-1}&= p_2+\alpha\, p_1\\[5pt] &=(\alpha^2-\alpha+1)+\alpha(1-\alpha)\\[5pt] &=1 \end{align*}\]

$\therefore p_n+\alpha\, p_{n-1}=1$ …③

 ②より,数列 $\{p_n-p_{n-1}\}$ は初項 $p_2-p_1=(\alpha^2-\alpha+1)-(1-\alpha)=\alpha^2$,公比 $-\alpha$ の等比数列であるから $p_n-p_{n-1}=\alpha^2\cdot(-\alpha)^{n-1}=(-\alpha)^{n+1}$

$\therefore p_n-p_{n-1}=(-\alpha)^{n+1}$ …④

 ③-④から $(\alpha+1)p_n=1-(-\alpha)^{n+1}$

\[\therefore\ \underline{p_n=\frac{1-(-\alpha)^{n+1}}{1+\alpha}}\]