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高校数学[総目次]

数学B 第2章 数列

  スライド ノート 問題
1. 等差数列      
2. 等比数列      
3. Σ(シグマ)と和の公式      
4. 階差数列      
5. 数列の和と一般項      
6. 差をとってできる数列の応用      
7. (等差)×(等比)の和      
8. 群数列      
9. 隣接2項間漸化式(その1)      
10. 隣接2項間漸化式(その2)      
11. 隣接3項間漸化式      

11. 隣接3項間漸化式

 連続した3つの項の関係を表した等式を,隣接3項間漸化式という.隣接した2項間の関係に比べると状況はやや複雑化するものの,結局のところ隣接2項間漸化式に帰着させて考えることになり,隣接2項間漸化式が不自由なく扱えるならば,3項間でも全く問題なく処理できる.

11.1 $a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_n=0$

 典型的な隣接3項間漸化式は,突き詰めてしまえば次のようになるといえる.

 $\boldsymbol{a_{n+2}+p\,a_{n+1}+q\,a_n=0}$
  → $a_n=A\,\alpha^{n-1}+B\,\beta^{n-1}$ の形になる.

 この点については下の11.4節で述べるとして,まずはオーソドックスなタイプから見ていこう.

 隣接3項間漸化式の最もオーソドックスなパターンとして,次の例題を見ていこう.

例題1 $a_1=1,\ a_2=5,\ a_{n+2}-7a_n+12a_n=0$ の一般項 $a_n$ を求めよ.

 2項間の場合がそうであったように,3項間の場合も「上手い変形」によって等比数列型の漸化式に帰着させるというのが大まかな方針である.等比数列型の漸化式 というのは次のような形であった:

等比数列型の漸化式 $a_{n+1}=r\,a_n$ → $\{a_n\}$ は公比 $r$ の等比数列

 このような上手い変形を導くための補助的な方程式(特性方程式)が,隣接2項間の場合と同様に存在する.2項間の場合はそれが1次方程式であったが,3項間の場合は2次方程式になる.そしてこの2次方程式が,異なる2つの実数解をもつケースというのが最も基本的なパターンであり,本問はそのケースである.

 まずは特性方程式を導くところから始めてみよう.後述するように,実際の答案では特性方程式の導出過程は省略してもっとシンプルに書いてよい.

 漸化式を変形して, \[a_{n+1}-\alpha\,a_{n+1}=\beta\,(a_{n+1}-\alpha\, a_n)\ \cdots\mbox{①}\] と書けたとしよう. これが先に述べた「上手い変形」である.何故これを指して上手い変形といえるか,その理由は

数列 $\{a_{n+1}-\alpha\, a_n\}$ が公比 $\beta$ の等比数列になっているから

である.

 ①式をすべて左辺に寄せて整理すると,

\[a_{n+2}-(\alpha+\beta)\,a_{n+1}+\alpha\beta\, a_n=0\]

 これと与えられた漸化式と比較すると, \[\alpha+\beta=7,\ \ \ \alpha\beta=12\] であり,この2式を満たす2数 $\alpha,\ \beta$ は,2次方程式

\[x^2-7x+12=0\ \ \cdots(*)\]

の2解であるから,$\alpha$ と $\beta$ は 3 と 4 である.$(*)$ の方程式を,与えられた漸化式の特性方程式という.与えられた漸化式と特性方程式を並べて比較してみよう.

\[\begin{align*}
a_{n+2}-7a_n+12a_n&=0\\[5pt]
x^2\hspace{2mm}-7x\hspace{2mm}+12\hspace{4mm}&=0
\end{align*}\]

 すると,

\[\begin{align*}
a_{n+2}&\to x^2\\[5pt]
a_{n+1}&\to x\\[5pt]
a_n&\to 1
\end{align*}\]

という具合に置き換わっていることがわかる.これは偶然ではなく,この手の隣接3項間漸化式では常にこれと同様の置き換えで特性方程式が得られるのである.

特性方程式の作り方 $a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_n=0$ の形の隣接3項間漸化式の特性方程式は\[x^2-px+q=0\]

 特性方程式の解として得られた3と4は,どちらが $\alpha$ か $\beta$ かで2通り考えられ,その2通りの両方を考えることで一般項を導く方法を次に示す.

1° $ \alpha=3,\ \beta=4$ のとき

 ①より \[a_{n+2}-3\,a_{n+1}=4\,(a_{n+1}-3\,a_n)\]  $b_n=a_{n+1}-3\,a_n$ とおくと,

$b_{n+1}=4\,b_n$ (←等比数列型)

 よって数列 $\{b_n\}$ は初項 $b_1=a_2-3\,a_1=5-3\cdot1=2$,公比4の等比数列であるから, \[b_n=2\cdot4^{n-1}\]  $b_n$ を元に戻して \[a_{n+1}-3\,a_n=2\cdot4^{n-1}\ \cdots\mbox{③}\]

2° $ \alpha=4,\ \beta=3$ のとき

 ①より \[a_{n+2}-4\,a_{n+1}=3(a_{n+1}-4\,a_n)\]  $c_n=a_{n+1}-4\,a_n$ とおくと,

$c_{n+1}=3\,c_n$ (←等比数列型)

 よって数列 $\{c_n\}$ は初項 $c_1=a_2-4\,a_1=5-4\cdot1=1$,公比3の等比数列であるから, \[c_n=3^{n-1}\]  $c_n$ を元に戻して \[a_{n+1}-4\,a_n=3^{n-1}\ \cdots\mbox{④}\]

 ③$-$④より
\[\underline{\boldsymbol{a_n=2\cdot4^{n-1}-3^{n-1}}}\]

  1. 特性方程式を解く
     $x^2+px+q=0$
  2. 漸化式を2通りに変形する
    $\left\{\begin{array}{l}a_{n+2}-\alpha\,a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha\, a_n)\\[5pt]a_{n+2}-\beta\,a_{n+1}=\alpha(a_{n+1}-\beta\, a_n)\end{array}\right.$
  3. 連立方程式を解く

補足

 上の解答例では,特性方程式を導くところから記述したのであるが,実際の答案では計算用紙に特性方程式の解を計算しておき,いきなり変形したところから書くのでよい.以下がその記述例である.