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高校数学[総目次]

数学B 第2章 数列

  スライド ノート 問題
1. 等差数列      
2. 等比数列      
3. Σ(シグマ)と和の公式      
4. 階差数列      
5. 数列の和と一般項      
6. 差をとってできる数列の応用      
7. (等差)×(等比)の和      
8. 群数列      
9. 隣接2項間漸化式(その1)      
10. 隣接2項間漸化式(その2)      
11. 隣接3項間漸化式      

7. (等差)×(等比)の和

 7.1 (等差)×(等比)の和の求め方

例題1 $S=1+2x+3x^2+\cdots+nx^{n-1}$

こたえ

 $S$ は

\[1,\ 2x,\ 3x^2,\ \cdots,\ nz^{n-1}\]

という数列の和である.この数列は,各項の左側だけを見ていくと

\[1,\ 2,\ 3,\ \cdots ,\ n\]

となっており,これは初項1,公差1の等差数列である.一方,右側だけを見ていくと,

\[1,x,x^2,\cdots ,x^{n-1}\]

となっており,これは初項1,公比 $x$ の等比数列である.このような等差数列と等比数列の各項を掛けて新しい数列を作り,その和を計算しようというときには次のように考えるとよい.

ポイント(等差)✕(等比)の和の求め方
  等比数列の公比を $r$ とすると,

$rS$ を作る → $S-rS$

 これは等比数列の和の公式 を導いたときと同じ要領である.等比数列の和の公式では,引き算すると最初と最後以外はすべて消えたが,このタイプは全て残るのが特徴である.
 本問の場合は等比数列の公比が $x$ であるから,$xS$ を作ればよい.

\[\begin{array}{rlrl}
S\!\!\!\!\!&=1\!\!\!\!\!&+2x\!\!\!\!\!&+3x^2+\cdots+\ \ \ nx^{n-1}\\[5pt]
-)\ \ xS\!\!\!\!&=\!\!\!\!\!&x\!\!\!\!\!&+2x^2+\cdots+(n-1)x^{n-1}+nx^n\\[5pt]\hline
(1-x)S\!\!\!\!&=1\!\!\!\!\!&+x\!\!\!\!\!&+\ \ x^2+\cdots+\ \ \ \ \ x^{n-1}\ \ \ \ \ -nx^n
\end{array}\]

 この右辺を見ると,最後の $-nx^n$ を除いた残りの部分,すなわち

\[1+x+x^2+\cdots +x^{n-1}\]

が,初項1,公比 $x$ の等比数列の第 $n$ 項までの和となっている.このように引いたときに等比数列の和が現れることで,このタイプの和が計算できるのである.直ちに和の公式から

\[1+x+x^2+\cdots +x^{n-1}=\dfrac{1-x^n}{1-x}\]

としたいところであるが,この公式は公比が1ではない場合にのみ用いることができたことに注意したい.

1° $x\neq1$ のとき

\[(1-s)S=\frac{1-x^n}{1-x}-nx^n\]

 $1-x\neq0$ であるから,両辺を $1-x$ で割って

\[\begin{align*} S&=\frac1{1-x}\left(\frac{1-x^n}{1-x}-nx^n\right)\\[5pt] &=\underline{\boldsymbol{\frac{nx^{n+1}-(n+1)x^n+1}{(1-x)^2}}} \end{align*}\]

2° $x=1$ のとき

 $1-x=0$ であるから,$1-x$ で割ることができない.この場合は与式まで戻って, \[S=1+2+3+\cdots+n=\underline{\boldsymbol{\frac12n(n+1)}}\]

補足

 本問では引き算したあと,右辺に現れた $-nx^n$ 以外の項すべてが等比数列の和として計算できたが,一般には最初と最後を除いた中間の部分が等比数列の和となっている.次の例題2がそのタイプで,そちらの方がむしろ一般的である.

例題2 $S=1+3x+5x^2+\cdots +(2n-1)x^{n-1}$

こたえ