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高校数学[総目次]

数学B 第2章 数列

  スライド ノート 問題
1. 等差数列      
2. 等比数列      
3. Σ(シグマ)と和の公式      
4. 階差数列      
5. 数列の和と一般項      
6. 差をとってできる数列の応用      
7. (等差)×(等比)の和      
8. 群数列      
9. 隣接2項間漸化式(その1)      
10. 隣接2項間漸化式(その2)      
11. 隣接3項間漸化式      

9. 隣接2項間漸化式(その1)

9.1 漸化式とは

 数列の各項の間に成り立つ関係(方程式)を漸化式(ぜんかしき)という.

 a1=2, an+1=2an1 (n=1,2,3,)

a1=2a2=2a11=3a3=2a21=5a4=2a31=9

    のような各項間の関係式を,(隣接2項間の)漸化式(ぜんかしき)という.これから様々なパターンの漸化式を扱っていく.いずれの場合も,与えられた漸化式から一般項を求めるというのが1つの目標となる.まずは基本的な漸化式の3つのパターンを確認していこう.

漸化式の基本3パターン ① 階差数列型 (an+1an=f(n))

 ② 等比数列型 (an+1=ran)

 ③ 一般型   (an+1=pan+q)

9.2 階差数列型 (an+1an=f(n))

 f(n)n の関数とする.an+1an=f(n) で表された漸化式の左辺は,数列 {an} の階差数列を表しており,右辺はその一般項が n の式 f(n) であることを表している.この f(n) が定数である特別な場合と,そうでない一般の場合に分けて見ていこう.

f(n)が定数のとき[1] f(n)= (定数)
     → {an} は等差数列

 f(n)=d (定数)とすると,漸化式は

an+1an=d

となり,隣の項どうしの差が常に一定の d であることを表している.これは数列 {an} が公差 d の等差数列であることを意味する.

例題 a1=2, an+1=an+3 の一般項 an を求めよ.

こたえ

 漸化式を変形すると, an+1an=3

 これは数列 {an} の階差数列である {an+1an} が常に定数3であることを表している.よって数列 {an} は初項2で公差3の等差数列であるから

an=2+(n1)3=3n1

 次に,f(n) が定数ではない一般のケースを見ていこう.

f(n)が定数でないとき[2] f(n) (定数)
     → an=a1+k=1n1f(k)   (n2)

 f(n) が定数ではないとき,漸化式は

an+1an=f(n)

となる.これは数列 {an} の階差数列の一般項が f(n) であることを表している.階差数列の一般項がわかれば,元の数列の一般項は計算できるのであった.(4. 階差数列 参照).階差数列の和をとるときには「n2」の断り書きと,n=1 のチェックを忘れずに行う.

例題 a1=2, an+1=an+2n の一般項 an を求めよ.

こたえ

 漸化式を変形すると, an+1an=2n

 これは数列 {an} の階差数列である {an+1an} の一般項が 2n であることを表している.

 よって,n2 のとき,
an=2+k=1n12k=2+2×12(n1)n=n2n+2

(n=1 のときもこれでよい.)

9.3 等比数列型 (an+1=ran)

等比数列型の漸化式 an+1=ran → {an} は公比 r の等比数列

 この漸化式は,次の項である an+1 が前の項である an の常に r 倍であることを表しているから,数列 {an} は公比 r の等比数列であることを意味する.

例題 a1=2, an+1=3an の一般項 an を求めよ.

こたえ

 この漸化式から数列 {an} は,次の項が前の項の常に3 倍 であることを表しているから,公比3 の等比数列であることがわかる.
 よって an=2(3)n1

9.4 一般型 (an+1=pan+q)

 p, qn によらない定数とすると,このタイプの漸化式は,最終的には次のような形となる.

 an+1=pan+q
   → an=Apn1+B の形になる.

 何故このような形になるかについては,次の節である10. 隣接2項間漸化式(その2) で詳細に説明する.まずは教科書で説明されている内容を詳しく見ていこう.

例題 a1=2, an+1=2an+1 の一般項 an を求めよ.

 このタイプの漸化式は「上手い変形」を行って,等比数列型(an+1=ran) に帰着させるのが定石である.その「上手い変形」とは,定数 c を用いて与えられた漸化式を

an+1c=2(anc)

というように表すことである.右辺のカッコの前の係数2は,与えられた漸化式の an の係数である.一般には an+1=pan+q の場合に an の係数である p がこれに相当する.

この漸化式の場合は2
一般には an の係数がくる

 何故この変形が「上手い変形」といえるのか.その理由は,数列 {anc}公比 2 の等比数列であることを表しているからである.

 それではこのような都合の良い c はどのように見つけることができるのだろうか?

 藪から棒だが,与えられた漸化式において,an+1anc に置き換えた,下の(☆)の式を作って,与えられた漸化式から引いてみよう.

an+1=2an+1)      c=2c+1 ()an+1c=2(anc)

 方程式 (☆) を解くと c=1 であるから,これを引いた式に代入して

an+1+1=2(an+1)

 これで「上手い変形」ができた.念のためこの式を an+1 について解くと

an+1=2an+21=2an+1

となって問題の漸化式に復元できることが確認できる.つまりこの漸化式は,問題に与えられた漸化式と同じ式である.

ワンポイントアドバイス
 このような変形を行ったあとでは計算ミスがないかどうか,変形して元の漸化式に復元できることを確認するクセをつけよう.

この(☆)の方程式を,この漸化式の特性方程式という.

特性方程式の作り方 漸化式の an+1anc に置き換える

an+1=pan+q

     c=pc+q ←特性方程式

 ここで,an+1=bn とおくと,

bn+1=2bn (←等比数列型)

 よって,数列 {bn} は初項 b1=a1+1=3,公比 2 の等比数列であるから, bn=32n1  bn を元に戻して, an+1=32n1 an=32n11

補足

 数列 {an} の各項に1を加えて新しい数列 {bn} を作ってみると,

  {an}={2,5,11,23,47,}
     ↓ +1
  {bn}={3,6,12,24,48,}
     初項3,公比2の等比数列
 このように,数列 {an} 自体はよくわからないが,{an} の各項に1を加えた数列 {bn} の方はわかり易い数列になっているという仕掛けである.

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2. 等比数列      
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4. 階差数列      
5. 数列の和と一般項      
6. 差をとってできる数列の応用      
7. (等差)×(等比)の和      
8. 群数列      
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10. 隣接2項間漸化式(その2)      
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