高校数学[総目次]

数学A 第3章 図形の性質

第3章 図形の性質

  スライド ノート
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2. メネラウスの定理 [無料]  
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5. 円に内接する四角形 [会員]  
6. 接弦定理とその逆 [会員]  
7. 方べきの定理とその逆 [会員]  
8. 三角形の五心    
  重心    
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  内心    
  傍心    

中学校の範囲
1. 円周角の定理    
2. 円周角の定理の逆    

1.円の内部・外部

定理
 2点C,Pが直線ABについて同じ側にあるとする.
 図において,弧ABに対する円周角ACBと∠APBについて,
 [1] 点Pが円の内部 $\iff\angle{\rm ACB} < \angle {\rm APB}$
 [2] 点Pが円の外部 $\iff\angle{\rm ACB} > \angle {\rm APB}$

証明の方針

まず「$\Rightarrow$」だけを示す.その際,半直線APと円との交点Qをとり,円周角の定理を利用.

証明

まず「$\Rightarrow$」を示す.

[1] 点Pが円の内部 $\Rightarrow\angle{\rm ACB}<\angle {\rm APB}$ を示す

 図のように半直線APと円との交点をQとする.△BPQの内角と外角の関係により \[\begin{align*} \angle{\rm APB}&=\angle {\rm PQB}+\angle {\rm QBP}\\[5pt] &>\angle {\rm PQB}\\[5pt] &=\angle {\rm AQB}\\[5pt] &=\angle {\rm ACB}\ \ (\because \mbox{円周角の定理}) \end{align*}\] \[\therefore \angle{\rm ACB} < \angle {\rm APB}\]

[2] 点Qが円の外部 $\Rightarrow\angle{\rm ACB}>\angle {\rm APB}$ を示す

1° 半直線APまたはBPが円と交わるとき

 図のようにAPと円との交点をQとする.△BPQの内角と外角の関係により \[\begin{align*} \angle{\rm AQB}&=\angle {\rm QPB}+\angle {\rm PBQ}\\[5pt] &>\angle {\rm QPB}\\[5pt] &=\angle {\rm APB}\\[5pt] \end{align*}\] \[\therefore \angle{\rm AQB}>\angle{\rm APB}\]  円周角の定理により$\angle{\rm AQB}=\angle{\rm ACB}$であるから \[\angle{\rm ACB}>\angle{\rm APB}\]

2° 半直線APもBPも円と交わらないとき

 図のように半直線ACとBPの交点をQとすると,三角形の内角と外角の関係により \[\angle{\rm APB} < \angle{\rm AQB} < \angle{\rm ACB}\] \[\therefore\angle{\rm ACB}>\angle{\rm APB}\] となる.

 よって「$\Rightarrow$」が示された.

次に「$\Leftarrow$」を示す.

[1] 点Qが円の内部 $\Leftarrow\angle{\rm ACB}<\angle {\rm APB}$ を示す

 点Qは円の内部にあるか,外部にあるか,円周上にあるかのいずれかである.
 $\angle{\rm ACB} < \angle {\rm APB}$のとき,点Pが円の外部にあるとすれば,先に示した「$\Rightarrow$」により$\angle{\rm ACB}>\angle {\rm APB}$となるから矛盾.
 また,点Pが円周上にあるとすれば,円周角の定理により$\angle{\rm ACB}=\angle {\rm APB}$となるから矛盾.
 従って点Qは円の内部にある.

[2] 点Qが円の外部 $\Leftarrow\angle{\rm ACB}>\angle {\rm APB}$ を示す

 点Qは円の内部にあるか,外部にあるか,円周上にあるかのいずれかである.
 $\angle{\rm ACB}>\angle {\rm APB}$のとき,点Pが円の内部にあるとすれば,先に示した「$\Rightarrow$」により$\angle{\rm ACB} < \angle {\rm APB}$となるから矛盾.
 また,点Pが円周上にあるとすれば,円周角の定理により$\angle{\rm ACB}=\angle {\rm APB}$となるから矛盾.
 従って点Qは円の内部にある.

 よって「$\Leftarrow$」が示された.

 以上により「$\iff$」が示された.

2.円周角の定理の逆

 先に議論した円の内部・外部の関係から,次の「円周角の定理の逆」が成り立つ:

円周角の定理の逆
 2点C,Pが直線ABについて同じ側にあるとする.このとき,∠ACB$=$∠APBならば,4点A,B,C,Pは同一円周上にある.

証明

 点Pは△ABCの外接円の周上にあるか,そうでないかのいずれかであるが,上の定理により, \[\angle{\rm ACB}\!\neq\!\angle{\rm APB}\iff\mbox{点Pは△ABCの外接円の周上にない}\] であるから,∠ACB$=$∠APBならば,点Pは△ABCの外接円の周上にある.よって4点A,B,C,Pは同一円周上にある.

補足

 円周角の定理の逆の特別な場合として次が成り立つ:

 $\angle{\rm APB}=90^\circ$ のとき,点Pは線分ABを直径とする円周上にある.
例題1 △ABCにおいて,∠BACの二等分線と辺BCの交点をDとし,ADの延長上に点Eを$\angle{\rm BAD}=\angle{\rm DBE}$ となるようにとる.また,BEの延長上に ${\rm BE=EF}$ となる点Fをとるとき,$\angle{\rm BCF=90^\circ}$ となることを示せ.

 2点A,Bは直線CEに関して同じ側にあり,$\angle{\rm EAC=\angle EBC}$ であるから円周角の定理の逆により,4点A,B,E,Cは同一円周上にある.

 その円において円周角の定理により ${\rm \angle BAE=\angle BCE}$ となるから△EBCは ${\rm EB=EC}$の二等辺三角形であり,仮定とから

\[{\rm EB=EC=EF.}\]

 従って,3点B,C,Fは点Eを中心とする同一円周上にあり,線分BFはその円の直径となるから ${\rm \angle BCF=90^\circ}$.

例題2 ${\rm AB=6cm}$ である線分ABを直径とする半円の弧上を,点PがAからBまで動くとき,線分APの中点 $\rm Q$ の軌跡の長さを求めよ.

 PがA,Bと重ならないとき,$\angle{\rm APB=90^\circ}$ であり,円の中心をOとすると,中点連結定理により ${\rm OQ/\!/BP}$ となるから,$\angle{\rm AQO}$ も $90^\circ$.従って円周角の定理の逆により,点 $\rm Q$ は線分AOを直径とする半円上にある.

 PがAのとき $\rm Q$ もAであり,PがBのとき $\rm Q$ はOに重なるから,求めるものは直径3の半円の長さである.よって

\[3\pi\times\frac12=\underline{\boldsymbol {\frac32\pi}}\]


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